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暗殺国家ロシア 消されたジャーナリストを追う

2011年06月15日 12時06分49秒 | 社会・報道・警察・教育

福田ますみ氏の著書。

福田氏は1956年生まれ、立教大学社会学部を卒業後専門誌、編集プロダクション勤務を経てフリーになり、犯罪、ロシアなどをテーマに取材、執筆活動を行なつてをられる。2007年に『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』で第6回新潮ドキュメント賞を受賞。

本書は、ロシアで発刊してゐる「ノーバヤ・ガゼータ(新しい新聞の意)」を取り上げてゐる。この新聞社の記者5人(含契約記者)、弁護士1人が襲はれて死亡するといふ事件が起きてゐる。その理由は、この新聞社が政府の圧力にも動じない記事を発表してゐるからである。

ソ連が崩壊し、「民主主義」ロシアが誕生した。しかし、エリツィンは3日で終了したものの検閲を開始し、プーチンは憲法上違反にならないやり方でメディア規制を行なつてゐる。その規制はエリツィンよりも強力となつてゐる。 そのやうすが本書で「ノーバヤ・ガゼータ」を通して明らかになつてゐる。

BS NHKで海外ニュースとしてロシアのテレビが時々放送されてゐるが、テレビの規制は新聞よりもさらに厳しく、事実と違ふ内容も堂々と放送されてゐることがわかつた・・・ (本書で「ベスラン学校占拠事件」を取り上げ、そのときのメディアの対応が記されてゐる)

しかし ・・・・・・

読みながら度々思つてゐたのであるが。

日本のマスゴミも、あまり変はらないと思ふ。ロシアの場合は国の大統領やら首相やらが自ら指示し、規制の手段をあれこれ構じていくのであるが日本の場合は「記者クラブ」なる集団を作り、官公庁の一室に官公庁費用で「記者クラブ」室が出来てをりご不自由の無いやうに設備が整えられ、そして「おネタ」を下さる。

官公庁の意に反する記事内容が出ると、記者クラブに出入り禁止となり、「おネタ」がもらへない。それはつまり、他社が報道してゐることを自分のところだけ報道できないといふ悲劇を生み出す・・・・・・

果たして、マスゴミは政府批判・官公庁批判など出来ないのである・・・ これは形を変えた「規制」である。

ロシアの「ノーバヤ・ガゼータ」に当たる日本のメディアの立場はフリーランスの人であらう。

そんなことを思ひながら読んでゐた。なので、ロシアの国内事情・警察・検察の腐敗などが書かれてゐるのであるが・・・・

「日本もあまり変はらないぢやないか」といふ印象が抜けなかつた。かえつて、ノーバヤガゼータの人たちは命の危険を省みずに「事実」を追求してゐるのに、「第四の権力」と言ひながら全く監視役になつてない「マスゴミ」が非常に情けなく見えた。



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