真保 裕一氏の作品。 第37回江戸川乱歩賞受賞作品。
厚生省(この作品は1991年に書かれてゐるので、当時)元食品衛生監視員の羽川は深夜、友人の夫人からの電話で起こされる。電話は友人が泥酔し車で海に飛び込み自殺を図つたといふことであつた。
羽川は友人のその妻と男女の関係をもち、それを知つた友人が家を出てゐることから妻の不貞を苦にした自殺と考えられる。しかし、雑誌記者であつた友人はチェルノブイリ原発事故による放射能汚染食品がヨーロッパから検査対象外の別の国経由で日本に輸入され、商品化されてゐたことをスクープしてゐた。そのスクープにより食品会社では自殺者も出ることとなつてをり・・・・
内容を全然知らづに図書館で借りたが、現在の食品の安全に関する状況の中、なんといふタイミングであらうかと思ひながら読んだ。
汚染食品の横流しと睨んだ主人公羽川が、真相究明に乗り出したところ命を狙はれることとなる。食品に絡んだ裏事情とは・・・・
一件落着かと思ひきや、最後のどんでん返しが面白い。