読書おぶろぐ

読んだ本の感想を書いてます

隠蔽捜査

2011年04月13日 16時18分22秒 | ミステリー・推理

今野 敏氏の作品。

今野氏は1955年北海道生まれ。上智大学在学中に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞され、レコード会社勤務などを経て作家となり、本作で吉川英治文学新人賞、「果断」で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞受賞されてゐる。

幾つかの賞を受賞されてゐるが、かなり文章と物語が面白い。初めて読んだがどんどん引き込まれていつた。

「隠蔽捜査」とあるやうに、舞台は警察である。警察庁に勤める東大卒の官僚、竜崎を主人公に竜崎を取り巻く警察庁と警視庁に勤務する人々を描く。

東京都足立区で男が殺される。男は少年時、集団で女子高生を誘拐・監禁・殺害・死体遺棄をした事件を起こした過去があつた。時を置いて埼玉で人が殺されるが、その被害者は最初の被害者と同ぢグループで同ぢ犯罪に加担してゐた。犯人の目星がついたとき・・・・

一方、竜崎は浪人してゐた息子がヘロインを混ぜた煙草を吸つてゐるのを自宅で発見する。警察官僚の息子が薬物犯罪を犯してゐた・・・・・

警察官僚としての立場、父としての立場、家族の行く末を竜崎は案じる。その結果として・・・

時々、警察の不祥事として警察官の犯罪が報じられる。取り締まる側が対象となる犯罪を犯してゐたことで、世間やマスゴミの批判にさらされる。いつそのこと、なかつたことにしてしまへば・・・・・・と考えるのは人間の心理なのかもしれない。しかし、隠蔽が表に出たとき、さらなる批判と信頼がなくなることとなる。

本作品に書かれたことは、警察だけではなく世間全体のそれぞれの立場に置き換えられることだらう。

本作品はシリイズになつてゐるやうなので、続けて読みたいと思ふ。