読書おぶろぐ

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検察の正義

2010年06月12日 21時25分11秒 | 政治関連・評論・歴史・外交
 
郷原 信郎氏の著書。
郷原氏は20年間、検事としてご活躍されましたが現在は弁護士登録をされ、コンプライアンスに関する活動など幅広くご活躍されてをります。
 
本書はライブドア事件、村上ファンド事件、西松建設政治資金規正法違反事件に的を絞り、現在の検察が抱えてゐると思はれる問題点について論じられてをります。また、長崎地検に赴任されたときのご自身の公職選挙法違反の摘発に関するご経験を元に、「証言」を相手方(起訴される被疑者側)から引き出す対処も記述されてをります。
 
郷原氏の著書は、最新「検察が危ない」を先に拝読し感想を投稿ゐたしました。その本と本書と内容が若干だぶつてゐるところもありますが、「検察が危ない」では「特捜検察」の捜査(自白の取得)のやり方に重点が置かれて記述されてをりますが、この「検察の正義」では検察が歪んできた背景(歴史)や進め方に的を絞つてゐます。
 
驚いたのは、45年ほど前に起きた「造船疑獄」と呼ばれる事件で検察が捜査に行きづまり当時の法務大臣の「指揮権を発動」を依頼し捜査を終了させたことがあつたことです。その事件の構造はだうやら、現在の政治資金規正法違反事件やライブドア事件、村上ファンド事件と共通した「誤り」があるやうです。
 
検察の日常業務と言はれるものは、(交通)事故や事件の逮捕者の起訴・不起訴の決定をするのが主な仕事のやうですが、日本の場合世間が検察に求めてゐる(描いてゐる)ものは、「悪を処罰する正義」像のやうなものであり、その象徴的事件が「ロッキード事件」なのだと言へませう。
 
ロッキード事件といふ、ロッキード社の航空機を日本で調達するといふ裏取引を時の首相が賄賂をもらつて引き受けそれが明るみに出て、「総理大臣を逮捕に追い込んだ東京地検特捜部」といふ肩書きがあまりにも強烈に世間に染み付き、ここから検察自体が抜け出せなくなつてしまつた・・・・ それが現在の様相であるやうだ。
 
「ロッキード事件の時の東京地検特捜部よ、今いずこ」だかしらないがその姿を再び追い求めるがゆえに「自白強要」が問題の取調べとなつたり、検察が描いた筋書きどおりに調書を作成したりしたことが明るみに出て、問題となつてゐるのが現在ではあるまいか?
 
検察の問題はともかくとして、本書を読んでいくと第3章「経済検察への展開と『迷走』」、第4章「政治資金捜査の行き詰まり」と金に絡んだ事件が増えてゐるやうに思ふ。(実際だうなのか知らないが)そして、そのカネの裏に出てくるのが何故か「政治家」だつたり「政治団体」だつたりする。そして、「政治資金」へと繋がるのである。
 
なので、本書を読んだ感想は検察にも問題はあるのだが一番ズルくて汚いのは「立法責任のある政治家」だと思つた。
自分たちだけ、いかにカネを集め財産を失はないやうにするかのからくりばかりを考え、「政治には金がかかる」とホザキまくり、世間に「カネが掛かるのが政治」と思ひ込ませてゐるやうな気がしてきた。
 
舛添氏が新党結成の際に、「カネのかからない政治」といふキヤツチフレエズを掲げたが舛添氏を潰したい人がゐるとしたら、自分たちの今までのやり方が大嘘で国民にバレては困る人たちであらう。
政治家が相続する際に「政治資金」として申告すると相続税が無いらしいが(それが世襲が増えてゐる理由の一つであらう)、そんなことも考えると世襲議員たちはな~んにも国民の役に立たないのですと自ら証明してゐるやうなものだと思つた。
 
政治家が、「いかにカネを使はづに政治活動を行なふか」を考えて行けば経済検察の仕事は減るのぢやないか?
 
てか
「税金がきちんと使はれてゐるかを見張るのが行政刷新」なんとかとか言ふ仕分け事業は、まづ政治家の事務所の政治資金から始めるべきであらう。
すごくいひタイミングで、税金で漫画やキャミソールを買つた人もゐるし。「戦略**」大臣だつけ・・・なんの戦略をするのか知らないが、キャミソールの使ひ道は是非とも明確にしてもらひたい。 

てか
またまた、おホザキしますがマスゴミは一体何をしてゐるのであらう?
「第四の権力」「権力の監視」のはづの大手メディアが全く機能してゐない。 だういふワケか、問題を提起するのはフリージャーナリストか外国メディアでせう。
記者クラブとして政管の広報と化してゐるマスゴミは、ほんたうに国民のためになつてゐない。