世界変動展望

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第70期名人戦開幕!

2012-04-17 00:19:36 | 囲碁・将棋

10日から第70期名人戦が開幕した。今年は名人誕生400年の節目の年。徳川家康が初代名人に扶持(ふち)を与えてから400年に当たるのが今年で、開始に先立って徳川恒孝十八代徳川宗家が振り駒を行い、第1局は森内が先手番になった[1]。いろいろ催しが行われているが、相変わらず名人戦の無料棋譜速報や中継ブログはない[2]。なんとかしてくださいよ、米長さん、毎日・朝日新聞社さん!

それはさておき、今期の名人戦の結果だが正直なところ私は羽生が勝つと予想している。その理由は今期の羽生は順位戦で抜群の安定感で勢いがあるからだ。名人戦は持ち時間が最も長い棋戦で勢いだけでは勝てないといわれるが、勢いがあった方が有利なのは間違いない。今期の羽生はA級順位戦で9戦全勝、抜群の安定感と勢いがあり、先月のA級最終局の放送でも森内が「最高の相手が最高の状態で挑戦してくる」と勢いを認めるコメントを述べた。私もそこそこ長い間名人戦を見てきたが、勢いがある人は名人を獲得していることが多いと感じている。2004年に今期の羽生と同じく9戦全勝で森内が挑戦者になったときも名人になるだろうと予想したが、その通り名人になった。その後も4連覇し一気に永世名人になった。

思えばこの10年は森内と羽生の2人で名人を務めている。森内・羽生時代ともいうか、2人の永世名人の時代が続いている。それだけ名人という地位は選ばれた者しかなれないし、選ばれた者が長く続ける傾向が強いのだろう。名人獲得にまつわる話は次回する予定。

渡辺は怒るかもしれないが、総合力が問われる名人戦においてはこの二人の対局が現在最も好カードといえるだろう。よい対局を楽しみにしている。将棋ファンには説明無用かもしれないが、この2人は子供の頃からライバル同士で対戦成績も互角といっていいだろう。羽生を相手に互角以上の対戦成績を持つのは羽生キラーと多くの人に認められた渡辺の他には森内、深浦ぐらいしかいない。これも将棋ファンでは知っている人が多いだろうが、この2人の対局は先手の勝率が高く、後手番の時にいかに勝つかが勝敗を分けることが多い。ちょうどテニスのゲームと同じでサーブをする側が有利で、相手がサーブの時にいかにブレイクするかが重要なのと似ている。玲瓏のデータ([3])によると10日時点で2人の対戦成績は、

通算
110局62勝48敗、勝率 0.5636
先手のとき
36勝13敗、勝率 0.7347
後手のとき
26勝35敗、勝率 0.4262

(対戦成績は羽生からみたときの表示。例えば通算では羽生が62勝48敗という意味)

本当に先手の勝率が高い。一般には将棋は先手の勝率が高く先手有利といわれるが、将棋の進化によって数年前はプロ全体の1年度通算勝率において後手が先手を上回ったことが報じられたが、この2人の対局に関しては相性の影響がかなり大きく先手が絶対有利である。タイトル戦では第1局がはじまらないと最終局直前までの先手・後手が分からない。たぶん少なくない棋士が思っているだろうが、当然作戦があるだろうから、予め決めておいて欲しいという思う人がいるだろう。この2人の場合も当然作戦があるだろう。現行制度では仕方ないので要は先後不明でも相手に勝てるだけの作戦をたてるとか実力を備えないといけない。

彼らはどういう作戦を立てているのか。今期も名局を期待したい。

参考
[1]毎日jp 2012.4.10
[2]世界変動展望 著者:"名人戦の無料棋譜速報、中継ブログについて" 世界変動展望 2009.4.12
[3]玲瓏のデータ 2012.4.10