「虹を渡って」(作詞、作曲 山崎朋子)の合唱曲はとても良い。私は山崎朋子氏の合唱曲は好きなものが多く、美しい宝石をちりばめたようなピアノの伴奏や主に中学生くらいの人たちの純粋な想いを表現したところが素晴らしく、とても感動する。「大切なもの」、「春風の中で」、「手のひらをかざして」、「明日の空へ」などどれも素晴らしい曲で気にいった曲が多い。
「虹を渡って」(作詞、作曲 山崎朋子)
今回紹介するのは「虹を渡って」の歌詞の間違いについて。これを紹介すると「つまらない事をいうな~」と怒られそうですが、説明します。
歌詞の最初は次のとおり。
「雨が やんだ 空の果て
大きな 虹が かかってる
その向こう側に 見えるのは まぶしいくらいの太陽」
虹の向こう側に太陽が見えるということですが、これは虹の発生する原理からは不合理です。
詳しい発生原理はリンク先に譲るとして、簡単にいうと雨粒が太陽光線を反射、屈折させる事で虹が発生します。ですから、虹が見えるのは太陽の反対側です。
「その向こう側に 見えるのは まぶしいくらいの太陽」というのは「その逆側に 見えるのは まぶしいくらいの太陽」、「その反対側に 見えるのは まぶしいくらいの太陽」というのが科学的に正しいです。
ただ、これは音楽であって科学ではないので、空想的な事や科学的事実でない事を歌詞にしても全く問題ありません。こういう事を言うのは無粋というものでしょう。
前に「海の不思議」(作詞・川崎洋、作曲・平吉毅州)の解説で
「人間は宇宙へ飛んで月の石まで持ち帰ったが地球の海の一番深いところへはとてもじゃないがまだ行けない。
ああ、月より遠い海なのだ。」
という部分に対して
『人類が地球上で最も深い海の底に到達したことがなく、行くのはとても無理であるというのは嘘である。世界最深は西太平洋,マリアナ諸島の東側にあるマリアナ海溝のチャレンジャー海淵(現在の測定で深さ10911m)で、1960年1月23日にアメリカ海軍の協力のもとにオーギュスト・ピカールが開発した潜水艇バチスカーフ・トリエステ号にドン・ウォルシュ大尉とオーギュストの息子ジャックが搭乗してマリアナ海溝・チャレンジャー海淵に挑戦し、チャレンジャー海淵の底まで到達した。
人類が月面に着陸したのは1969年7月20日で、アポロ11号が月の静かの海に着陸し、ニール・アームストロング船長が人類で初めて月面に降り立った。
つまり、人類が海の最深部へ到達したのは月に到達する前の話である。歌詞を作ったときにはこの事実はすでに知られているはずだから、海を賛美するための作詞者の粉飾・でっちあげであると思われる。
ちなみに、日本の無人探査機「かいこう」も1995年5月にチャレンジャー海淵の10911mまで潜った記録がある。』
と解説した事がある。合唱曲の歌詞にこのような事を言うのは本当に無粋ですなー。
まあ、小中学生が虹の発生原理について正しい理解をしてくれればと思いますが・・・。虹を見つけたい時は雨上がりに太陽と反対側の空を探しましょう。
虹ってきれいですよね。無粋な事を言ってしまいましたが、山崎朋子氏の「虹を渡って」という曲は虹のようにとてもきれいな曲です。その芸術的価値は全く損なわれる事はありません。私は大好きです。私はこの曲を聴くと元気になれるのではないかと思います。
ぜひ皆さん視聴してみてください。