goo blog サービス終了のお知らせ 

世界変動展望

私の日々思うことを書いたブログです。

万有引力の法則について

2009-04-05 00:37:30 | 物理学・数学

これまで発見された物理法則の中で最も重要なものの一つに万有引力の法則がある。万有引力は重力とも言われ、1666年頃アイザック・ニュートンによって発見された。彼は1687年にその発見を自著である「自然哲学の数学的諸原理」(プリンキピア)で発表した。

ニュートンはケプラーの法則から万有引力の法則を発見したとされる。ケプラーの法則とは、

第1法則 惑星は太陽の周りに,太陽を一つの焦点とする楕円軌道をえがく。
第2法則 惑星と太陽とを結ぶ動径が単位時間にえがく面積(面積速度)は一定である。
第3法則 惑星の公転周期Tの2乗は,太陽からの平均距離rの3乗に比例する。

というものだ。この法則から万有引力の法則を推測するには次のようにする。

このように書くといかにも「万有引力の法則を導出した」という印象を受けるが、(2)は推測の式であり、その正当性は他の実験や観測から実証されなければならない。つまり、惑星が太陽の周りを公転するのは太陽と惑星の間に向心力がはたらくためだというのはニュートンの推測だが、(2)の正当性が様々な実験や観測によって確立することによって、ニュートンの推測は実証されることになる。

実際(2)によって様々な天文学の現象が説明されたり、未知の惑星の予言がなされ、その予言どおりに惑星が見つかった事などから、(2)式の正当性は裏づけられているのである[1]。

ニュートンが(2)を発見する以前は天体の運行を司る力と地上の物体の落下などを司る力は別なものだと考えられていたが、物体の落下も(2)式で統一的に説明することが可能であることが判明し、(2)式は天体間の力だけでなく、すべての質量ある物体の間にはたらく「万有引力」と考えられるようになった。

天体間の力と地上の物体の落下等が(2)式で統一的に説明できるからといって、「すべての質量ある物体」で引力がはたらくとするのは論理に飛躍があると思うかもしれない。つまり、私たちが知っている物体では(2)式が成り立っているだけで、質量はあっても(2)式が成り立たない物体が存在するのを否定できないのでないかという疑問がある。

確かにそうかもしれないが、それは物理学の証明が数学の証明とは違って完全なものではないことによる。物理学の証明は実験事実の集積によって行われる。いくつもの実験によって、検査対象の物理法則に不合理な点が見つからず、矛盾なく現象を説明するなら正しいと判断されるのだ。

「ある物理法則について、たくさん実験をやったけど、不合理な点は全く見つかりませんでした。これだけたくさん実験をやって不合理な点はみつからないのだから、検査対象の物理法則は正しいと考えるのが合理的でしょう。」というのが物理学の証明である。

つまり、物理学の証明とは物理法則について不合理性を完全に排除するものではない。実験的検証をさらに続けて物理法則について不合理な点が見つからないという保障はない。物理法則は今のところ不合理性はないので正しいと信じられているにすぎないのである。

だから、「すべての質量ある物体に引力がはたらく」というのは完全に検証できているわけではないが、既存の実験検証の範囲ではすべて(2)式は正当性を持っているので、「とりあえず正しいと信じましょう」というわけである。

万有引力は目に見えない力だから、そんなものが本当に存在するのか不思議に思う人もいるだろう。ニュートンが太陽と惑星の間に向心力がはたらくと推測した事の背景とからむが、引力がはたらくことは慣性の法則から推測される。

慣性の法則によれば、物体に力がはたらかない場合静止または等速直線運動を続ける。惑星の運動は静止または等速直線運動ではないから、何か見えない力がはたらいていると推測できるわけだ。

惑星の運動はほとんど円運動だから、力学の円運動の説明と同じように太陽と惑星の間に引力がはたらくと推測するのは自然である。

(2)式は見ればわかるとおり時間を含まない式である。その意味で(2)式は定常的な万有引力の法則といえる。現代物理学を学ぶと重力も場の理論として理解されるので、重力も(2)だけでなく非定常的な記述がある。それは一般相対性理論におけるアインシュタイン方程式になるわけだが、ここで説明するのは難しい。重力の非定常的な振る舞いとは、いわゆる重力波などだが、それに興味がある人は一般相対性理論を学んでほしい。

既存の天体現象が(2)でほとんど説明できることは、重力現象は定常状態の重力寄与とほとんど変わらないということもできよう。それだけ重力波の影響は弱いということだ。

重力については現在でも盛んに研究されているが、量子力学の範囲で重力を説明する理論はいまだに満足するものが得られていない。既存の相互作用である、重力、電磁気力、強い力、弱い力のうち量子力学がうまく説明できないのは重力だけである。

今後重力の研究はどんどん発展していくだろう。最終的な重力の法則がどのようなものか、ぜひとも知りたいものである。

参考
[1]海王星は天王星の運行がよろめいていることから、その原因として未知の惑星が予想され、計算によって発見された。イギリスのアダムスとフランスのルベリエが独自に位置を計算し、ルベリエの知らせで、ドイツのガレが予報位置に新惑星を発見した。それが海王星で1846年9月23日であった。(学研の図鑑「星・星座」第36版、p64より)



4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ポイントは距離の三乗に反比例する所 (浜ちゃん(tn1392))
2009-05-25 17:09:43
Δ(宇宙)の発生から導いている。Δの三角、加速度が発生してから三辺(引力、斥力、時間)が発生、Δの中の質量が誕生した。単位時間で観測すると、宇宙は外側から加速度の反力が斥力、その反力が引力という構造、引力は宇宙に三重に掛かっている加速度のひとつなので引力にかかる加速度は三乗分の一、何の三乗かといえば、加速度は距離割時間だから引力とは距離の三乗に反比例する。相対性原理は加速度を光速としている。そこで今回、E=M×Cの三乗を発案いたします。
返信する
いただいた見解へのコメントについて (世界変動展望 著者)
2009-05-25 23:07:24
残念ですが、私はあなたの見解は理解できません。
返信する
重力の法則 (kokosoko52)
2009-06-04 23:46:03
物理専門ではないのですが、重力には興味がありコメントさせていただきます。
重力は生まれることができるなら、その時には同時に無限大の距離まで影響を及ぼすもの。むしろ”無限大の場(表現が間違っているかもしれませんが。)”に生ずるべくして生ずるものと理解しています。つまり時間と無関係であるもの。逆に時間とは少なくとも3個の物体がその位置を変化させたとき初めて存在することが認識されるものでしょう。それが定常的であるためには、そのうちの2個体が互いに万有引力で引き合いながら円運動をする必要があります。つまり万有引力あるいは重力は、時間と同様個体が”無限大の場”に生じなくては認識されないものではないかと。そして重力を”無限大の場”に生じさせるなにかがその場に存在すると想像しています。
返信する
いただいた見解へのコメントについて-その2 (世界変動展望 著者)
2009-06-05 02:31:11
残念ですが、あなたの見解も私にはよくわかりません。
返信する