世界変動展望

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政府の人権侵害から守れる司法府を

2008-04-25 16:51:38 | 社会
 1971年に起きた沖縄返還批准阻止暴動で警察官一人が亡くなった。その事件で殺人罪の罪にとわれ、無期懲役刑(確定)で服役している方の再審請求運動を見た。服役している方は最初から容疑を否認し、冤罪を訴えている。服役して31年が経過したが、まだ保釈されていない。
 この件で再確認したことは二つある。一つは無期懲役刑が報道機関が言うほど軽い刑ではないということだ。テレビのコメンテーター等は「日本の無期懲役刑は軽く、10数年で保釈される」といっているが、そんなに軽くない。この方のように30年以上服役している人はざらにいるのである。最近は厳罰化のせいか、20年以下で保釈される人はほぼゼロだろう。刑が軽いので犯罪者を無期懲役ではなく死刑にしろと訴える人はその事をよく考えてもらいたい。
 二つ目は時の政権に反対する運動をすれば、狙われて罪にされる可能性があるということだ。表現の自由やデモ活動の自由が憲法で保障されていても、政府にとって都合が悪い運動を狙って規制されることがある。先の立川ビラ配り有罪判決も自衛隊イラク派遣という政治問題に関らなければ有罪にされなかったかもしれない。沖縄返還批准阻止暴動もまた時の政権に反対する運動であるし、それを狙って規制していたと再審請求運動をしていた人たちは述べていた。中国や戦前の日本でも政府に反対する運動の規制は公然と行われたいたが、それは断じてよろしくない。政治的言論への規制は民主性の瑕疵につながるからだ。
 上記事件は残念ながら無期懲役刑が確定しているが、量刑が少し重いと思う。被害者が一人、計画性もない行為で71年当時で無期懲役刑になるものだろうか?現在の基準でもおそらく15~20年程度の有期懲役が相当だと思うが・・・。当時は有期懲役の最高刑でも15年くらいだったと思う。報道で無期懲役刑になる事案を見る限りだと、殺人罪の場合は被害者が一人で、かつ犯行が著しく反社会性を持つものが多い気がする。憶測にすぎないが、上記事件で量刑が重いのも政府に反対したものへの制裁からではないだろうか。
 政府に反対したからといって不当に重い量刑をかせられたり、有罪にされるのは許されない。政府への活動を守り自由主義を実現する司法府がその片棒を担ぐようでは何のための司法権独立だろうか。"弱腰の最高裁"と揶揄されることもあるように無罪判決や違憲判決を出すことには、明らかに政府からの圧力があり影響を大きく受けている。現在の司法府は政府からの圧力で少数者・弱者の犠牲の上に成り立っているように思える。
 少数者や弱者の自由・人権を擁護する使命を司法府に全うさせるには今の統治機構を再検討する必要があるかもしれない。