最近ネットで次のような文章を見た。
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最高学府
大学のこと。これまでは大学(学部)で正しかったが、現在は大学院もあるので、最高学府は大学院だという説もある。が、大学院は「学府」なのかどうかという議論がある。
(中略)
参考[1]より
最高学府
最も程度の高い学問を学ぶ学校。通例、大学をさす。
参考[2]
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上の文章では最高学府は大学ではなく大学院だとする説があるとしているが明らかに間違いである。学校教育法第62条にも「大学には、大学院を置くことができる。」と明記されていることからもわかるように、大学とは学部も大学院も含む機関であり、最も程度の高い学問を学ぶところだから最高学府である。
そもそもかかる誤解の原因は大学と大学院を別組織と考えていることであろう。大学ができた明治時代から最近まで学部が大学の主流機関で大学院はマイナーだったため、「大学=学部」という認識が一般的になった[3]。例えば、「大学生」、「大学を卒業する」という言葉は正確には「大学の学部生」、「大学の学部を卒業する」ことを意味する。
しかし、正確には上で述べたとおり大学院は大学の組織の一部であって、別機関ではない。正確に認識すれば、何も誤解はないだろう。
大学院が学府なのかという議論があるらしいが大学院は明らかに学府である。
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学府
学問をする人々の集まる所。学校。
参考[4]より
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大学院が学府でないなら、大学院は「学問をする人々の集まる所」ではないということになるが、明らかに間違っているだろう。なぜこんな議論があるのか?おそらく疑問に思っている人たちは、学府は「大学」、「高校」、「中学校」のような単位の学校を指すもので大学院は大学の一組織だから大学等の単位の学府とは違うため、学府と呼べないとでも考えているだろう。
そういう考えは厳密に考え過ぎではないか。学府の意味は上述のとおり、「学問をする人々の集まる所」という意味であり、その意味を持つなら広く学府としてよいのではないか。英語では学部をschoolといい、大学院をgraduate schoolという。理学部、経済学部、医学部、大学院法学研究科などいろいろな学府を集めた全体を大学と呼んでいるのであり、学部や大学院が学府ではないということはない。
以上、最高学府とは学部や大学院を含めた大学を指し、大学院は学府である。
参考
[1]最高学府とは - はてなキーワード 2011.8.15
[2]最高学府 大辞泉 2011.8.15
[3]1990年代後半頃から旧帝大を中心に大学院重点化が行われ、全教員が大学院に所属したり、大学院進学率が上昇するなど、現在は研究・教育の本科が大学院になっている大学が増えた。
[4]学府 大辞泉 2011.8.15