世界変動展望

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群馬大学の研究不正疑惑について

2012-04-20 00:05:00 | 社会

群馬大学の研究者に研究不正疑惑が持たれている[1]。放送大学を批判して炎上した矢吹樹の正体がこの研究者だという指摘もなされている[1]。ネットの告発ページによると誰かすぐわかってしまう[1]。この件も告発されたようだ[1]。告発者のツイッターの発言によれば最近また論文捏造ネタがかなりたまったらしいが時間がなくて紹介できないらしい。よくそれだけネタを発見できるものだ。

[1]を見ると加藤茂明のケースほど大規模ではないが、データの使い回しなどは複数件あり、常識的には故意に捏造や改ざんをしたと十分認定されるだろう。無論、被疑者は「うっかりミスだった」という趣旨の弁明をすると思うが、このケースは常識的には全く通じない。もともと捏造まがいのデータの使い回しなどのミスはたとえ1回でもめったに起きず、故意にやらないとまず発生しない。そういう捏造まがいの行為が2度、3度と見れたら、常識的には故意に捏造をやったと判断するのが合理的である。

例えば万引き犯が「出来心でつい盗んでしまいました。」と言い分けしても2度、3度やってたら絶対に通じないないだろう。「なんで出来心で何回も万引きするんだよ?出来心じゃなく悪意があってやってるよね。」と誰でも考える。客観的な態様から常識的に推知すればこのような判断が合理的だろう。

[1]のケースも3,4度と捏造まがいのことをやっている。そういう客観的態様から判断すると、捏造や改ざんがなかったと考えるのは健全な社会常識に照らして不合理といわざるを得ない。簡単に言えば[1]はまず間違いなく故意の捏造だということだ。

とはいうものの、これはあくまで利害関係のない第三者が常識的に判断した場合の話で、被疑者の所属機関が裁定をしたら別な判断になることは考えられえる。それだけ現状の調査裁定は保身や利害関係のため歪んだ判断になることが珍しくなく、常識的にはただの創作としか考えられないような被疑者の弁明を信じて過失で済ますことも多い。もともと被疑者の弁明だけでは足りず、科学的な証拠に基づかないと過失を認定できず不正を認めるルールのはず([2])だがルールが守られていない。被疑者の弁明は保身のため嘘の可能性が極めて高いから、他の証拠に基づかず被疑者の弁明だけを根拠に過失を認定したら不当な結果にしかならないのは目に見えている。それは研究機関もわかっているはずだが、あえてそうしているのだから組織ぐるみで不正を隠蔽している印象を受ける。

研究機関側としては大事にしたくないとか研究費を返したくないとか保身のためにルールを無視し不当な調査裁定をしているのだろう。本当に第三者機関に調査裁定をやらせないと公正さが保てませんよ。

参考
[1]告発者のページ 2012.4.16
[2]「1調査委員会の調査において、被告発者が告発に係る疑惑を晴らそうとする場合には、自己の責任において、当該研究が科学的に適正な方法と手続に則って行われたこと、論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければならない。」「 1の被告発者の説明において、被告発者が生データや実験・観察ノート、実験試料・試薬等の不存在など、本来存在するべき基本的な要素の不足により証拠を示せない場合は不正行為とみなされる。」「被告発者が自己の説明によって、不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは、不正行為と認定される。」「本ガイドラインの対象とする不正行為は、発表された研究成果の中に示されたデータや調査結果等の捏造と改ざん、及び盗用である。ただし、故意によるものではないことが根拠をもって明らかにされたものは不正行為には当たらない。」

上は文部科学省の不正行為対応のガイドラインの規定。被疑者が科学的な根拠により過失などの立証ができず不正の疑いを覆せない場合は不正行為が認定されるルールである。保身のための嘘の可能性が高い被疑者の弁明だけを信じて判定するのは科学的根拠に基づくとはとても言えないし、不当結果を招くのが目に見えているから認められないルールなのだろうが、研究機関では全く守られていない。
[3]世界変動展望 著者:"研究不正が起きる根本原因について" 世界変動展望 2012.4.16