ご苦労さん労務やっぱり

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労働者代表は正しく選出されていますか?

2016-01-03 18:28:02 | 労務情報

 この時期、「時間外労働・休日労働に関する労使協定」(労働基準法第36条に基づくので「三六協定」とも呼ばれる)や、「1年間の変形労働時間制に関する労使協定」を締結する会社も多いが、これら労使協定の相手方たる労働者代表は適正に選出されているだろうか。

 似たようなものに就業規則の制定にあたり意見を聴く相手としての労働者代表があるが、就業規則は基本的には使用者が制定するものである一方、労使協定は「労使間の合意」であるので、労働者代表の選び方によっては労使協定が無効になる可能性すらあるので、要注意だ。
 中でも、過半数労組の無い会社での代表者選出方法が問題となるケースがしばしば見受けられる。しかも、こういった問題は「残業代の不払い」などトラブルに伴って表出してくることがしばしばであるので、労使関係が円満な会社であっても、平時から慎重を期しておく必要がある。

 さて、労働者代表を選ぶに際して最もいけないのが、経営者や人事担当者が特定の従業員を指名するものだ。これでは、誰が見ても、“労働者の代表”でないことは明らかだろう。
 では、会社が特定の従業員を「候補」として推薦して過半数労働者の信任を得れば良いかと言うと、それも、行政通達(H11.1.29基発45号)の言う「使用者の意向によって選出された者」に該当するので、要件を欠く。
 やはり、労働者代表は、従業員間で民主的に(従業員が一堂に会しての挙手や投票でなくても、「回覧方式による投票」や「社内ネットを用いた投票」でも可)選ばれるべきなのだ。

 もっとも、労働者が自ら代表を選出するのは、「法令で定められているから」という理由だけでなく、従業員にも企業経営への参加意識を持ってもらうことにも意味がある。これは、労働組合に対して会社が期待することと同じだ。
 さらに言えば、代表者を選出する過程を経て、従業員間はもとより労使間の風通しをも良くするので、「トラブルの未然防止」という副産物まで期待できるかも知れない。


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