「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「葉蘭の花?」

2013-06-03 18:14:28 | 和歌

 観葉植物の代表格の「葉蘭に、花が咲いた」と書けば、馬鹿にされそうだが、実のところ虚庵居士も「葉蘭の花?」を目の当たりにして、目を疑った。

 葉蘭は、生花に添えて活けたり、寿司の飾り、弁当の仕切などにも使われるが、昨今はそれもビニール製に取って代わられつつあるのが現状だ。

 「うつろ庵」の庭にも、二群の葉蘭が植えてあって、虚庵夫人は時々料理の盛り付けなどに活用しているが、群落はいつの間にか勢いづいて葉の密度が増し、群が拡張する。そこで、時には強引に古手の葉を持って、根元から引抜いて、数を減らすことになる。

 そんな強引な疎抜き作業をしていたら、在ろうことか葉蘭の株の傍に花の様な塊が付いたまま、引抜かれてきた。花だとは信じ難く、暫らくはためつ眇めつして、「ニラメッコ」の虚庵居士であった。

 

 塊の姿を見れば、無骨ではあるが花らしい。色も紅がさしているところから、「花かしら?」と思われた。生ごみと一括して捨てるつもりだったので、塊りをナイフで半分に切ってみた。周辺の八角のトンガリは、どうやら花弁らしい。中央の紅色の部分は、蕊かと思われた。

 葉蘭は地下茎が活発に働いて、次々と繁茂するので、花が咲くのは繁殖のためとも思われない。長い茎とその延長上の幅広い葉が茂るその根元で、「葉蘭の花?」はどんな思いで咲くのだろうか。葉蘭に覆われ殆ど陽も射さぬ日陰で、地表すれすれ、或いは落ち葉などに覆われて咲く「葉蘭の花?」に、虚庵居士は心を奪われた。

 


           生い茂るひろ葉ひろ葉の葉蘭なれど

           只にひろ葉は哀しからずや


           気が付けば葉蘭の群れのいや増せば

           そよ風抜けまし おろ抜援けむ 


           古き葉を手に取り腰を構えてぞ

           葉蘭を引けば 根株も抜けぬ           


           株際に花らしきもの在るを見て

           目を疑うは葉蘭の花かも


           八角はツノか花弁か紅に

           色付く塊り葉蘭の花らし


           広き葉と落葉も覆ひ陽もささぬ

           根元に咲くとは 葉蘭の花ぞも


           何ゆえに斯くも厳しく花咲くや

           葉蘭の花の心を思ほゆ







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