「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「小菊の秋 その5」

2014-11-15 00:46:18 | 和歌

 夕暮れ近くに、赤紫の小菊が群れ咲いていた。



 小菊とは申せ、花のサイズは5センチほど、背丈も70センチ程もあり、小菊のお仲間ではかなり大きめの部類だ。

 青竹色あるいは白緑の葉の中に、鮮やかな赤紫の花が朧に浮かび、夕暮れ近くのうす暗くなりかけた陽光と相俟って、何とも言えぬ雰囲気を醸していた。
花との出会いは、どの様な状況での出会いなのかが、第一印象には極めて重要だ。
この赤紫の小菊との出会いが、晩秋の夕暮れ近くであったことは、虚庵居士にとっては素晴らしい環境条件であった。

 若い男女の初めての出会いの雰囲気次第では、恋が芽生え、一気に加速されることもあるが、夕暮れ近くの赤紫の小菊との出会いには、それに似た胸のトキメキすら感じられた。

 日暮れ近くのうす暗くなりかけた樹の下で、小菊の姿が朧に観えたのは、小菊への恋心の芽生えだったのかもしれない ・ ・ ・。


           山の端に既にかかるや秋の陽は

           ”釣瓶落としと” 古人は云ふなれ


           白緑の葉色に浮かぶおぼろげな

           赤紫の小菊に出会いぬ


           薄暮ゆえ? 白緑の葉が薄めるや

           群れ咲く小菊の朧に見ゆるは


           何故ならむ胸ときめくは恋ふるかも

           赤紫のおぼろの小菊に







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