夕暮れ近くに、赤紫の小菊が群れ咲いていた。
小菊とは申せ、花のサイズは5センチほど、背丈も70センチ程もあり、小菊のお仲間ではかなり大きめの部類だ。
青竹色あるいは白緑の葉の中に、鮮やかな赤紫の花が朧に浮かび、夕暮れ近くのうす暗くなりかけた陽光と相俟って、何とも言えぬ雰囲気を醸していた。
花との出会いは、どの様な状況での出会いなのかが、第一印象には極めて重要だ。
この赤紫の小菊との出会いが、晩秋の夕暮れ近くであったことは、虚庵居士にとっては素晴らしい環境条件であった。
若い男女の初めての出会いの雰囲気次第では、恋が芽生え、一気に加速されることもあるが、夕暮れ近くの赤紫の小菊との出会いには、それに似た胸のトキメキすら感じられた。
日暮れ近くのうす暗くなりかけた樹の下で、小菊の姿が朧に観えたのは、小菊への恋心の芽生えだったのかもしれない ・ ・ ・。
山の端に既にかかるや秋の陽は
”釣瓶落としと” 古人は云ふなれ
白緑の葉色に浮かぶおぼろげな
赤紫の小菊に出会いぬ
薄暮ゆえ? 白緑の葉が薄めるや
群れ咲く小菊の朧に見ゆるは
何故ならむ胸ときめくは恋ふるかも
赤紫のおぼろの小菊に
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