「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「椰子のおばけ」

2015-10-10 20:33:35 | 和歌

 「椰子並木に、『椰子のおばけ』が出たのよ!」
クラウンから降り立った、虚庵夫人の第一声だった。買い物からの帰路、夕陽が三浦半島の山並みに沈み、暮れなずむ椰子並木を走って来たら、『椰子のおばけ』が目に入って怖かったという。翌日、手を引かれる様にして確認に連れて行かれた。



 何時もは海岸のプロムナードを散歩する虚庵夫妻だが、手を引かれて行ったのは椰子並木の、住宅街側の外れだった。太い幹だが意外にも背の低い「カナリー椰子」が、たわわに実って垂れ下がっていた。



 夕暮れの、街路灯の朧な明かりでは「お化けの手」の様に見えたに違いあるまい。それにしても、何とまあ「なつめ椰子の実房」の見事なことか。

 カナリー椰子は「なつめ椰子属」のお仲間ではあるが、食用として持て囃されている「なつめ椰子」とは別種の様だ。
果糖とブドウ糖が豊富な「なつめ椰子の実」は、聖典コーランでは「神の与えた果実」と云われているが、カナリー椰子・ワシントン椰子の並木を散歩しつつ、「椰子の実」に涎を垂らす虚庵居士であった。


           帰るなり 「椰子のおばけ」と ふるえたつ

           わぎ妹子なだめつ明日見に行こうと


           あくる日に手を曳かれゆく椰子並木

           何時もと変らぬ椰子の並木は


           先に立ち 「椰子のおばけ」 は あそこよ! と

           カナリー椰子は 実房を垂れて


           何とまあ 見事な実房か カナリー椰子の

           棗の房の重たげなるかな


           聖典のコーランに称える棗かも

           神の与えた果実ならむや







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