「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「初秋の関東嫁菜」

2010-09-29 11:51:39 | 和歌

 今年の夏は予想を超える猛暑であったが、初秋の足音と共に、朝夕の涼しさが心地よい季節となった。
散歩の途上で見かけた、「初秋の関東嫁菜」の表情をお届けする。






            虫食いの木の葉はけな気に守るかな

            熱暑に身を焼き葉影を落として


            身を寄せる賤葉(しずは)の陰に安らけく

            ほほ笑み咲くかも関東嫁菜は            


            薄色のか細き花びら乙女ごの

            こころねなるらむ賤葉に副へるは







 
 池の縁から身を乗り出して、関東嫁菜の一枝が咲いていた。

 脇の植え込みの枝から細い蜘蛛の糸が延びて、斜め下の枯れ草まで連なっていたが、関東嫁菜が倒れないように支えているかに見えた。朝日は関東嫁菜の残り花と蜘蛛の糸を浮き立たせ、逆光になった水面は深い暗闇になっていた。



            蜘蛛の糸は関東嫁菜を支えるや

            夏の残りの一枝が咲けば


            命かけて関東嫁菜は咲きたるや

            枯れ行くわが身のこの世の名残に

            





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