今年の夏は予想を超える猛暑であったが、初秋の足音と共に、朝夕の涼しさが心地よい季節となった。
散歩の途上で見かけた、「初秋の関東嫁菜」の表情をお届けする。
虫食いの木の葉はけな気に守るかな
熱暑に身を焼き葉影を落として
身を寄せる賤葉(しずは)の陰に安らけく
ほほ笑み咲くかも関東嫁菜は
薄色のか細き花びら乙女ごの
こころねなるらむ賤葉に副へるは
池の縁から身を乗り出して、関東嫁菜の一枝が咲いていた。
脇の植え込みの枝から細い蜘蛛の糸が延びて、斜め下の枯れ草まで連なっていたが、関東嫁菜が倒れないように支えているかに見えた。朝日は関東嫁菜の残り花と蜘蛛の糸を浮き立たせ、逆光になった水面は深い暗闇になっていた。
蜘蛛の糸は関東嫁菜を支えるや
夏の残りの一枝が咲けば
命かけて関東嫁菜は咲きたるや
枯れ行くわが身のこの世の名残に
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