道路脇のフェンスに蔓が絡みついて、白い房花を咲かせていた。
フェンスの向こうは、奥深くまで雑木林が連なり、手付かずの神秘の世界だ。道路脇の部分だけ枝払いされているので、フェンスの白い花には陽が射して、薄暗い雑木林をバックに見事な対比であった。
近寄って観ると、房花はごく小ぶりの胡蝶蘭を思わせる、気品のある花であった。
そんな房花が重なり合って、咲き競っていた。蔓をフェンスに絡め、陽ざしを求めて花を付けるので、見事な広がりを愉しませて貰った。
帰宅して花図鑑を繙いたら、「ハーデンベルギア」と知れた。和名は「小町藤」。
出逢った花は白色だったが、紫色の花もあるようだ。花の名前は、ドイツのハーデンベルグ伯爵夫人に因んで名付けられたという。小ぶりとはいえ気品に満ちた蔓花は、伯爵夫人を彷彿させる名花であった。
白妙の房花重なり咲く様は
高貴な花の打ち掛けならむか
蔓花は伯爵夫人に因むとか
その名にとどめる面影偲びぬ
寄り添えばひときわ華やぐ房花に
立ち去り難く佇みにけり
願わくば間近に置かまし一房を
心ゆくまで飽かず眺めむ
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