近くの菜園の一郭に、ピンクの可愛い小菊が咲いてた。
菜園の主は畠仕事の合間に小菊と語らい、どれ程か心を癒やされていることであろう。仕事を終えて帰る際には、小菊の何本かを自宅に持ち帰り、或は自宅でも鉢植えの小菊を愛で慈しんでいることであろう。
「小菊の秋」と題して、何種類かの小菊をご紹介して来たが、花の色も咲き方も、小菊のもつ雰囲気はまだまだ尽し切れない。本来であればそれぞれの小菊の銘を探して、その都度ご紹介できればよいのだが、その種類は無量大数に及ぶので、「小菊」で括らせて頂いた。菊に関する数寄者は、花を愛ずるのが嵩じると品種改良により、ご自分の花を創りだすことに夢中になる方もいて、小菊の種類は膨大に膨らんだ。
それ故にごく身近な花として、市民の皆さんが愉しませて貰っているのだ。
虚庵居士の子供の頃は信州の田舎で育ったが、両親と長兄夫妻は菊作りに専心していたので、家族の体からは菊の移り香が薫り、何とも高貴な雰囲気だったことが懐かしい。小菊はさほど香りが強くないが、花の香りを聴く習慣が身についているので、菊の香りに今は亡き両親や長兄夫妻が偲ばれ、庭一杯に咲き誇った菊の情景が懐かしく想い出される。
菜園の片隅に咲く小菊かな
仕事の合間の 語らひ偲びぬ
菜園も小菊の花もどれ程に
こころを癒す愉しみなるらむ
菜園に小菊を育てるゆとりかな
小菊を愛ずる主を思ひぬ
菊の香に故郷はるかおもほゆる
躰の移り香いとど恋しき
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