「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「昼咲月見草」

2010-06-05 13:16:49 | 和歌

 「昼咲月見草」が彼方此方で見かける様になった。

 本来の「月見草」は、時には人の背丈程にも成長し、花軸はかなりガッチリ成長するが、「昼咲月見草」は背丈も三十センチ程で、花軸も細く嫋女を思わせる。それでいて、彼方此方で見かけるのは彼女らの類まれな「繁殖力」によるものであろう。どの様な経路を経て伝搬されるか知らないが、いつの間にか根付き花を咲かせた「昼咲月見草」を、人々が雑草として駆除せずに、可憐な野花として慈しんでいるからに違いあるまい。

 資源エネルギー庁は、今年もまた「原子力有識者」を全国で十数名選任して、社会の求めに応じて国に代わり、有識者を講演などに派遣する事業を継続することになった。虚庵居士はこの事業の創設時から選ばれて、お手伝いを続けてきたが、果たして「昼咲月見草」のように市民の皆さんに受け容れられているのであろうかと、改めて自問するこの頃である。

 エネルギーの大消費、地球温暖化など、人類は嘗てないグローバルな課題を抱えて喘いでいるが、
この問題を市民の皆さんが自分の問題として捉え、真剣に考えて貰いたいと期待すればするほど、ついつい熱く語りかける結果となりかねない。語り手と皆さんの受け止め方の間に、大きなギャップがあっては決して訴えは伝わるまい。何時の間にか花を咲かせた「昼咲月見草」が、皆さんに受け容れられているのは、それなりの理由があってのことだ。

 辞任された鳩山・前総理は、二酸化炭素削減の2020年目標として、1990年比25%という世界的にも突出した目標を掲げた。残念ながら国内の議論を踏まえず、いきなり国際的な場で演説して識者を驚かせた。案の定、いまだに具体策すら煮詰まらないのが現状だ。「政治は地ならし」が大切だというが、「地ならし」をせよと主張するつもりはない。むしろ何が問題なのかを掘り起し、何が日本にとって最も大切なことなのか、「キチットした判断」を支える十分な検討と議論が無くてはならないと主張したい。それを国民に分かりやすく説明し、訴えるのが国のリーダーだ。
新たな総理になられた菅氏には、様々な意味で貴重な教科書が提示された。国民からも、国際的にも
受け容れられる宰相になって頂きたいものである。

 「昼咲月見草」の花談義が、いつの間にか国の新リーダーへの期待に代わってしまったが、一市民の切なる思いと、お許し願いたい。






            何時しかに昼咲月見草 たおやかに

            におひたつかな野の花にして 

            
            いずこより飛び来たるらむ野の花を

            抜き取る人のなきぞ嬉しき


            ここかしこ昼咲月見草咲く観れば

            こころ許すや世の人々も






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