「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「馬堀海岸の夕焼け」

2012-08-30 01:38:26 | 和歌

 今年は殊のほか、猛暑が続くようだ。

 福島事故の後、関電・大飯3・4号機を除いて全原子力発電所が停止中だ。我が国の電源確保は、将に危機状態にある。一市民としても、可能な限りの節電に努めるこの頃だ。幸いに、「うつろ庵」は緑が豊かで風通しが良いので、猛暑ではあるがクーラーを殆ど使用しない毎日だ。
 汗が吹き出るので、体を動かさない生活になりがちだが、日暮れ時から夕涼みを兼ねて、海岸のプロムナードの散歩が楽しみの一つになった。

 小一時間の散歩であるが、脚を鍛え、体調を整えるには絶好だ。胸につかえた鬱々たるものを広い海に向けて放散し、爽やかな夕風に吹かれれば、煩悩が洗い清められる気分になるから、堪らない。

 横須賀・馬堀海岸は、約二キロに亘って高潮・越波対策の護岸が建設され、その護岸を市民のプロムナードとして開放しているのだ。護岸は正面に猿島を望み、更にその奥には横浜のベイブリッジ、羽田空港を経て晴れた日にはスカイツリーが遠望できる。
左手をみれば三浦半島の山並みを超えて、富士山の雄姿が見える位置になる。護岸に沿って走る道路沿いには、カナリー椰子とワシントン椰子の並木が数キロも続くので、散歩には恰好のプロムナードだ。

 

 毎夕のことであるが富士山への日没の情景、夕焼けの雲が誠に絢爛豪華で見飽きない。これほど夕焼けを愉しんだのは、虚庵夫妻の人生では経験のないことだ。
人生の終末期を迎えつつあれば、殊更に美しく感じられるのかもしれない。

 夫婦二人して、この様な時を共有できることにも感謝だ。

 



          堪えかねる猛暑の夕暮れ海風に

          吹かれて涼とるじじとばばかな


          凪の海の水面を遥かに見渡せば

          何時しかとけぬ胸の閊えは


          沈み行く夕陽と雲の織りなせる

          変わりゆく様 飽かず眺めつ


          歳かさね人生の末の近ければ

          夕焼けいみじく胸に迫りぬ


          童謡の夕焼け小焼けを口ずさみ

          妻と歩めり 「おててをつないで」







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