「うつろ庵」の「珊瑚の首飾り」が実った。
「うつろ庵」は、珊瑚樹の生垣に取り囲まれているが、春先には「珊瑚樹の饗宴」とのタイトルで、珊瑚樹の花と蝶や蜂達の饗宴振りをご紹介した。殆ど同じ位置から見れば、「うつろ庵」が「珊瑚の首飾り」をしたかのように観えるではないか。
道行く人々が時には立ち止まって、若々しい声をあげていた。見れば、「珊瑚の首飾り」を背にして、お互いにスナップ・ショットを撮りっこする、微笑ましい姿も見られるこの頃だ。
また別のご婦人は虚庵居士を捉まえて、
「宅の珊瑚樹はこれ程綺麗に実を付けないんですの。何か秘訣があるんですか?」
等と問いただして、爺を困惑させるお人もいた。
珊瑚樹は、蜜集した枝の中の細枝に花を付けるので、剪定に際して出来る限り花を表に惹き出してやるのだ。厚手の大きな緑葉が、陽あたりを遮らぬよう気配りしてやれば、殆どの花が実を結んで呉れるのだ。かつてご近所の庭師から、
「整枝の気配りを勉強させて頂きました」
などと丁寧なご挨拶を頂き、恐縮したことがあった。プロの鋭い視線に、逆に舌を巻いたことが想い出された。
装飾品として貴重な珊瑚は、種類もお値段も様々のようだが、血の出るような色合いの品は、「血赤珊瑚」と称して最高級品だ。「うつろ庵」の珊瑚の実房に見入るご婦人たちの多くは、どうやら血赤珊瑚への憧れと重ねているのではないかとも思われるのだが、如何なものだろう。
お世話になった方に、ブログ「虚庵居士のお遊び」の一節をプリントして、お礼代わりにお届けしてあったが、図らずも昨日は、「珊瑚樹の実が余りにも綺麗ですので、想像で描いてみました」との絵手紙を頂戴した。
どんなプレゼントにも勝る、素晴らしい返礼を頂戴した。
緑葉の茂る生垣 重たげな
珊瑚の房々映える夏かも
手をのべて珊瑚の実房を掌に包み
溜め息つくらし夢みごこちに
陽に映える珊瑚の実房に 色も濃き
血赤珊瑚を胸に描くや
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