「うつろ庵」のテラスの先には、何時の間にか様々な草花が入り混じって、折々の花を愉しませて呉れているが、昨今は「花虎の尾」が主役だ。
早春は福寿草・水仙・ムスカリに始まり、やがて芍薬や紫蘭などが狭い花壇を次々に彩って、虚庵夫妻を愉しませてくれる。虚庵夫人がごく狭い花壇の隙間に、何の計画性もなしに植え込んだ結果だが、斯くも巧いこと時系列をなすことなど、彼女の頭に計算できていたとはとても思われない。しかしながら改めて問えば、「計算通りなのよ」と誇らしげにノタマウに違いあるまい。
夕涼みを兼ねてテラスでの夕食が、この処「うつろ庵」の定番であるが、風灯に照らされておぼろげに揺れる「花虎の尾」は、庭園の小さなボンボリの風情があって、虚庵夫妻を惹きつけてやまない。
長女も長男もそれぞれの家族と共に、遠く暮らすこの頃であるが、ビールとワインの酔いに任せて、孫たちの話題が尽きることもなく続くのは、「至福の夕べ」と云うものであろうか。
ツンと立つ莟の列をかざしつつ
花虎の尾は主役で咲くかな
口あけて群れたる金魚か花々は
のどの奥まで全てを晒して
日をおいてやがて膨らむ莟かも
序列を乱さぬ見事なけじめは
風灯に照らされ揺れるはぼんぼりか
花虎の尾に想いを重ねて
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