久しぶりに「ブラシの木」に出遭って、思わず虚庵夫人と顔を見合わせた。
鋭い針に串刺しの蜜蜂! と見れば、蜜蜂は鋭い針の花をかき分けて、花蜜を一心不乱に吸い続けていた。この花を初めて見たのは、オーストラリアへの旅行であった。まさに「ガラス瓶専用のブラシ」そのものではないか! しかも花の名前を現地人に聴いたら、 ”Bottle Brush ”だというから、虚庵夫人と大笑いであった。
最近はペットボトルがはびこって、ガラス瓶を洗って使うなどという日常生活の習慣は失われたが、嘗てはガラス瓶は洗って再利用するのが当たり前であった。針金をよじってその先端部分にブラシを巧みに
仕込んだ、まことに使いやすい生活必需品であった。
オーストラリアの亜熱帯性気候のもとでは、春・秋、或いは年間を通して咲くこともあるらしいが、日本でもこの時期にはかなり花を付けるから、順応性の優れた木だといえそうだ。洋の東西を問わず、「ブラシの木・Bottle Brush 」として親しまれ、庶民感覚の花ではあるが、それにつけても何とも「タマゲタ」花だ。鋭い針の数々は雄蕊らしい。
針千本 これが花とは如何なるや
造化の神もイタズラ好きらし
蜜蜂はスルドイ針に串刺しか
針かき分けて花蜜吸うとは
我妹子(わぎもこ)と目を見合せぬ懐かしき
豪州に観しブラシ花かな
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