「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「べにばなげんのしょうこ」  追記

2012-11-03 22:44:53 | 和歌

 草叢に紅色の小さな花が、一輪だけ咲いていた。花の姿、葉や実の様子も、「現の証拠」によく似ているが、花は白色ではなく紅色だった。

 取り敢えずカメラに収めてきて、帰宅してから野草図鑑のお世話になった。
先ずは「現の証拠」を調べたら、何と紅白双方の花があることが判明した。紅色の花には「紅花現の証拠・べにばなげんのしょうこ」との名前で、白色の花の「現の証拠」と区別しているようだ。また野草図鑑の説明では、北日本では紅花はごく稀で、白花が多いとの解説だ。かつて、「蓼科の野花 その4 現の証拠」にご紹介したので、白花はこちらを参照されたい。

 (追記) 蓼科高原で、何十年振りかで出会った現の証拠の導きで、小学校一年生から三年生の秋までご指導頂いた百合子先生が想い出されて、このエッセイと三首を詠んでブログに掲載した。図らずもこれを読んだ知人が、百合子先生の現住所をご連絡下さった。

 「蓼科の野花・七編」をコピーして先生にお届けした。 程なくして先生の娘さんから丁重なお手紙を頂戴した。 「母は老齢から軽い認知症にて加療中ですが、あの時のことを鮮明に記憶しておりました。頂戴した文集を繰り返しくり返し大切そうに読んでおります」と認められていた。

 数日前に、喪中のご挨拶状が届いた。
発信は百合子先生の娘さんからで、「七月十三日に母・百合子が永眠しました」と 印刷されていた。余白に「以前いただきました文集、母の棺に入れて持たせました。九十歳の誕生日四日前でした」 と追記されていた。


          指先の白墨の粉いまだなお

          まなこに残る 百合子先生は 


          遠足で現の証拠を摘採りし

          遥かなむかしに師弟は還りぬ


          かえりみれば温もりいまだ残れるは

          小学一年一組のころ


          目を瞑りご冥福をば念じつつ

          小学生に還りて 合掌
       (追記終)
           


 飲むとすぐに薬効があることから、「現に良く効く証拠」が「現の証拠」の名前の由来らしい。

 漢方薬の薬効の解説を引用する。
『根・茎・葉・花などを干し、煎じて
下痢止めや胃薬とし、また茶としても飲用する。飲み過ぎても便秘を引き起こしたりせず、優秀な整腸生薬なので、イシャイラズ(医者いらず)とか、タチマチグサ(たちまち草)などの異名も持つ』とあった。
こんな素晴らしい生薬であれば、
もっともっと大切にせねばなるまい。


          とりあえずカメラに収め記録せむと

          思ひは花の 気品を捉えず


          生薬の「現の証拠」とよく似たり

          白花ならず 紅花なれども


          調べれば「紅花現の証拠」とや

          生薬なるらし草叢の花は          


          紅白の「げんのしょうこ」は民草か

          医者に代わりて下痢など治すは


          野に咲けば有難さをも弁えず

          「現の証拠」が「医者いらず」とは


          医者いらず・たちまち草との異名もつ

          「げんのしょうこ」を崇める今日かな







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