「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「満開の蘇芳梅」

2011-03-08 02:17:39 | 和歌

 お隣の 「白梅の緑萼」を前回はご紹介したが、「うつろ庵の蘇芳梅」が満開に咲いた姿は、まだご紹介してなかった。駅や幹線道路からさほど離れてはいないが、比較的に静かな住宅地の中の四つ辻、東南の角地に蘇芳梅は根をおろしているので、何れの方角からもこの梅は目立つことになる。珊瑚樹の芽欠きをしていたら、道行く人々から声を掛けられて、紅梅の名前を訊ねられた。


 


 「和色の蘇芳色」をご存じの方は殆ど居られないので、言葉で色を説明するのは至難の業だが、「蘇芳色」の紅梅が目の前にあり、筋向いのお宅の玄関先には淡い色の紅梅が見えているので、説明は簡単だ。紅梅の色の違いを観て、皆さんはいとも簡単に納得して下さる。

 梅の花の蘇芳色は納得しても、古木にも拘わらず天を衝くような枝ぶりに驚いて、何故かと問う方も中には居られる。 確かに梅の木は、小枝が複雑に入り組んだ姿が一般的だが、「うつろ庵の蘇芳梅」の ような「怒髪天を衝く」が如き枝ぶりは、余り目にしないかもしれない。

 「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」との諺がある。桜は伸びるに任せて枝を切るな、梅の枝はせっせと剪定せよとの訓えだ。虚庵居士は「馬鹿の一つ覚え」で、毎年新しく伸びた枝を、殆ど丸坊主に切り詰める。実を付けぬ梅ゆえ、ただ枝ぶりを整えるだけだが、毎年新しい枝がこの様に元気一杯に伸びて、根元から梢の先まで花を付けて愉しませて呉れる。 今年も花時が終われば、真直ぐに伸びた枝を剪定するのは難儀な作業ではあるが、格好の気晴らしにもなって、愉しませて貰っている。
 


              四つ辻の遥か向うゆ蘇芳梅を

              見つつ歩み来 歩を止め見上げぬ


              梅が枝の何故に斯くまで鋭くも

              天を衝くかと問ひたまふかな


              それぞれにツルギの如く枝伸ばし

              梢の先にも紅梅咲く観て


              諺の「桜切る馬鹿梅が枝を

              切らぬ馬鹿」とぞ応えて唱えぬ







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