「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「山笑う」

2009-04-20 20:36:25 | 和歌

 六十而耳順、七十而従心所欲、不踰矩。「子曰く」で始まる、論語の一節だ。             

 つい数日前に、箱根での高校同期の懇親会に参加した。 
還暦を超えた旧友が集い、酒を酌み交わせば、いつしか青二才に戻って熱い議論が止め処なく続くことになる。信州の「バンカラ高校」の卒業生は、酒と議論だけでは飽き足らず、年に数冊の「耳順」なる文集を発行して来た。

 高校を卒業して半世紀余を経れば、好むと好まざるに拘わらず、お仲間は古希を迎え、文集の名前も「耳順」から「従心」に変更した。孔子に倣って、『七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず』を、自らの戒めにしようとの思いだ。

 「従心」のお仲間が集えば、年齢には関係なく気分は高校生に戻るから、不思議だ。酒席の議論の声も、若干は控え目になったのだろうか。そんなお仲間を箱根のお山は、含み笑いの「山笑う」で迎えて呉れた。






             とりどりの木々の織りなす山襞に
  
             さくら咲くらし遠くにかすむは







 
             なだらかな箱根の山は笑ふかも

             春の陽ざしに淡く芽ぶきて







   
             箱根路の含み笑いの山肌の

             襟巻ならむか連なる碧は






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