隣町の住宅街を歩いていたら、ブロック塀の窓からオキザリスが顔を出して、
はにかみ乍のご挨拶が印象的であった。
ブロック塀は何の変哲もない無味乾燥の構築物で、考案した人間も、それを利用する住民の気も知れないが、そんなブロック塀の小窓からオキザリスの可憐な小花が覗いていて、ほっと救われる思いであった。
ブロック塀の内側には多分鉢などが置かれていて、その鉢に根付いたオキザリスが、ブロック塀の小窓から乗り出したに違いあるまい。無味乾燥のブロック塀に、たった一株のオキザリスが顔を覗かせて呉れるだけで、ブロック塀は生気を得たのだ。
願わくば、ここのお宅の住民もそれに気づいて、水やりなどほんのチョットだけ可愛がってやって欲しいものだ。道行く人々も、「あらステキ」などと声をかけて下されば、オキザリスも生気を保って呉れるに違いあるまい。
一般社会の反応や、子供の在りのままの反応を見るにつけ、外部の人間の何の気なしの発言が、思わぬ効果を生むケースが間々ある。殊に子供のやる気を惹き出すには、ホンの一寸した褒め言葉が意外な効果を生むものだ。
ブロック塀の外での「ステキ」のひと言が、変化のキッカケをになるかもしれない。
ブロックを積み上げただけの塀に沿い
苦虫顔で 歩む爺かな
ふと見ればブロック塀の小窓から
身を乗り出してオキザリス咲く
あらステキ我妹子の声 立ち止まり
小花と語らふのどかなひと時
ブロックの無味乾燥の塀なれど
たった一株 小花の生気は
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