小菊は群れ咲く満開の華やかさも良いが、咲き始めの初々しさにも風情がある。
まだ稚けない莟みが仄かに色付き、或は間もなく開花を迎えようとする莟の中で、一・二輪が開花したばかりの姿には、初心な清純さが溢れている。
人間世界でも云えることだが、この「清純さ」が貴重だ。世に出て荒波に揉まれれば、逞しさは鍛えられるが、それと共に何時しか清純さが失われかねない。
本人も周りも、意識して研鑽を積んでも清純さを保つことは誠に難しい。それ故にことさら貴重なのだが、せめてその様な清純さを感じられる、澄んだ心だけでも保ちたいものだ。
齢を重ねると、何事にも応答が遅く、感性が摩耗して見ても観えず、耳にしても聴こえずという域に到達するが、感性の磨り減るのを少しでも防ぎ、願わくば多少でも磨ければとの微かな営みが、このブログ「虚庵居士のお遊び」での試みだ。
霜月のこえ聞く頃より咲き初めし
小菊はいとしき 色づく莟も
稚けなき小粒の莟のその頬を
微かに染めるは恥じらう乙女か
一・二輪 綻ぶ小菊は初々し
花の歓ぶ そのこえ聞かまし
咲き初めし小菊の微笑み受けま欲し
朝の寒さに温きこころを
清純に小菊綻ぶその脇に
色づくあまたの莟も控えて
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます