「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「小菊の季節 - その3」

2013-11-14 12:34:49 | 和歌

 小菊は群れ咲く満開の華やかさも良いが、咲き始めの初々しさにも風情がある。

 まだ稚けない莟みが仄かに色付き、或は間もなく開花を迎えようとする莟の中で、一・二輪が開花したばかりの姿には、初心な清純さが溢れている。

 人間世界でも云えることだが、この「清純さ」が貴重だ。世に出て荒波に揉まれれば、逞しさは鍛えられるが、それと共に何時しか清純さが失われかねない。
本人も周りも、意識して研鑽を積んでも清純さを保つことは誠に難しい。それ故にことさら貴重なのだが、せめてその様な清純さを感じられる、澄んだ心だけでも保ちたいものだ。

 齢を重ねると、何事にも応答が遅く、感性が摩耗して見ても観えず、耳にしても聴こえずという域に到達するが、感性の磨り減るのを少しでも防ぎ、願わくば多少でも磨ければとの微かな営みが、このブログ「虚庵居士のお遊び」での試みだ。




           霜月のこえ聞く頃より咲き初めし

           小菊はいとしき 色づく莟も


           稚けなき小粒の莟のその頬を

           微かに染めるは恥じらう乙女か


           一・二輪 綻ぶ小菊は初々し

           花の歓ぶ そのこえ聞かまし


           咲き初めし小菊の微笑み受けま欲し

           朝の寒さに温きこころを


           清純に小菊綻ぶその脇に

           色づくあまたの莟も控えて







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