「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「彼岸花とすすき」

2012-10-10 00:31:37 | 和歌

 生垣の剪定に夢中になって、「彼岸花」の莟を折ってしまった。

 開花には間がありそうな莟だったが、取り敢ずは玄関の水盆に投げ入れて、剪定作業を続けた。作業を終えて部屋に戻ったら、「彼岸花」に斑入りの「すすき」が添えられて、何ともご機嫌な風情であった。「彼岸花」の莟だけの姿に哀れを感じたのであろう、虚庵夫人が庭の「すすき」を添え、亡き兄貴の形見の銚子に活けてあった。

 数日したら、「彼岸花」が開花してハッと息を呑んだ。

 

 彼岸花は、花茎をスクッと伸ばしてその先に莟を付け、葉は花が散ってから徐に出て来る、特異な植物だ。細い茎と莟だけでは、開花はまず覚束ないだろうと諦めていた。が、二・三日後の早朝に開花した。細い蕊を精一杯に伸ばし、花弁をくねらせて咲いた姿をみて、虚庵夫妻は感激であった。

 「うつろ庵」の彼岸花は三浦半島をドライブした際に、野辺に群れ咲いていた球根を、二つ三つ頂戴して植えたものだ。不要になった球根を野辺に捨てたものであろう、球根は土にも埋まらず、むき出しのまま花を咲かせていたのだった。

 あれから何年を経たろうか、毎年律儀に花を咲かせてくれた彼岸花だが、思もかけぬ感激を今年は頂戴した。


          足元のポキリと折れた彼岸花の

          莟を拾いぬ ゴメンとつぶやき


          スカタンめと自ら罵り取り敢えず

          折れにし莟を水盆に挿す 


          彼岸花に斑入りのススキを活け添えて

          思ひを救ふ わが妹子かな


          日をおけば蕊をのばして咲く華に

          じじばば思わず 感嘆のこえ







最新の画像もっと見る

コメントを投稿