「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「うつろ庵の紫蘭」

2013-05-20 15:54:59 | 和歌

 ご近所の華人から鉢植えの「青花紫蘭」の一株を昨年頂いたが、花時を過ぎていたので、どんな花が咲くのか興味津々で開花をまった。

 紫蘭の葉は一般的に幅広で、観方によっては逞しさすら感じられるが、「青花紫蘭」は細葉で嫋やかな風情であった。

 群れて華やかに咲く紫蘭に、二週間ほど遅れて開花した。花弁も細作りで、花色と相俟って清楚な雰囲気を漂わせて咲いた。

 一株だけの鉢植えなので、群れ咲く紫蘭とは離して、松の根方の庭石に沿えてそっと置いた。
微かな風に揺れると、花や葉に松の木漏れ日が差して、戯れ合っているかのような景色であった。

 

 川のせせらぎを模して並べた飛び石とテラスの間の花壇に、今年も紫蘭は群れて咲き誇った。紫蘭は種がこぼれても発芽するが、宿根が逞しく地中で延びて、何時の間にか花壇一杯に拡がった。

 この花壇は、春先に水仙やムスカリ、クロッカスなどが咲き、四月から五月にかけては紫蘭が咲き乱れ、芍薬・梅花空木・花虎の尾などが後に続く、大変欲張りな花壇だ。いやいや、欲張りな住人だと言うべきであろう。

 

 紫蘭は、どちらかと云えば花の大きさはさ程でもないので、離れて観れば華やかさも控えめだが、近くで観ると花の姿も色も極めて華やかだ。遠近の差がこれほどハッキリ現れる花は、珍しいのではあるまいか。言葉を代えれば、紫蘭は身近に置いて愉しむ花と云えるのかもしれない。

 


           花時を過ぎて一鉢頂きぬ

           如何なる花かとひととせ待ちにし


           嫋やかな青花紫蘭咲にけり

           清楚な花を風に揺らせて


           木漏れ日が花と細葉にさしかかり

           戯る風情ぞ揺れる姿は


           咲き誇る紫蘭の花を写さむと

           近くに観ればなおも華やぐ







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