「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「房珊瑚」

2011-08-26 12:45:58 | 和歌

    生垣の珊瑚樹の「房珊瑚」が、見事に色づいた。
 五・六ミリの小粒の実が、およそ 三百個ほどビッシリと房をなす姿は、其れだけでも見ごたえがあるが、鮮やかな珊瑚色に発色した様は、見事の一語に尽きる。

 本物の珊瑚は、古来、宝飾品として人気がある。一般に出回っているのは朱色あるいはピンクの珊瑚だが、色の濃い「血赤珊瑚」は貴重品で、お値段もまた格別だ。更に黒みがかった深みのある色合いのものは、目利きの世界でも垂涎の品だ。

 「うつろ庵の房珊瑚」は、光線の陰りによっては黒味を帯びぬでもないが、むしろ鮮やかな「血赤珊瑚」の部類であろうか。虚庵夫人には日頃から宝石のプレゼントなどしたこともないが、「房珊瑚」の一部を切り取り、彼女の豊かな胸もとを飾ったらどんなであろうか。

「やっぱり本物がいいわ!」 虚庵夫人の声が聞こえるようだ。



 

          生垣に緑を連ねる珊瑚樹は

          夏惜しむらし実房を染めるは


          粒々のあまたの実をば残りなく          

          血赤に染めるは滾る思か


          一つならず血赤珊瑚の房々の

          滾る思いを誰ぞ受けなむ


          としふるにいまだわぎもここふるかも

          ちあかさんごにたくすやおもひを 







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