「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「谷戸の風船蔓」

2013-12-28 12:58:22 | 和歌

 谷戸道の脇に、枯れた「風船蔓」が揺れていた。

 久しぶりに訪ねた谷戸道は、かなり急勾配だった。下を向いて一歩一歩登って来たが、息が切れてチョット立ち止まって休んだ。ふと目を上げたら、眼の前に風船蔓がぶら下がっていた。
 平地の住宅街に暮らす虚庵夫妻には、 
谷戸の住いには興味深いものがあるので、散歩のコースの一つに選んで時々訪れる 谷戸道だ。

 近くに迫った山の雑木林は、季節の変化に敏感に呼応して、目を愉しませてくれる。
住み人にとっては、掛け替えのない借景に 違いあるまい。 

 そんな山の自然に溶け込むかのような、
飾り気のない風船蔓だった。


 
 自然に恵まれた谷戸の住いは羨ましい限りだが、日常生活の町への買い物など、谷戸道の上り下りはさぞや大変であろう。若者にとっては何ら苦もない谷戸道だろうが、年寄りにはかなりの負担に違いあるまい。

 枯れた「風船蔓」に、住み人の老齢が案じられたのは、己がそんな老境に足を踏み入れたということであろうか。


           久方に谷戸道たどれば息切れて

           脇の枝葉に助けを求めつ


           立ち止まり息をつくかな 見上げれば

           風船蔓のご挨拶かな


           ジャングルか 風船蔓の絡みには

           真夏の緑の 「涼」をしのびぬ 


           谷戸道の雑木林に溶け込むは

           飾り気なしの 風船蔓ぞ


           ひっそりと暮らす姿をおもふかも

           谷戸の住いの老いたる夫妻を







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