「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「遊歩道の木蓮」

2015-04-13 01:27:47 | 和歌

 「うつろ庵」の近くの遊歩道に、木蓮が咲いた。 大きな花びらの外側は「若紫色」の
グラデーションで、純白な内側と相俟って気品のある木蓮の花だ。



 若紫色の木蓮の花は、内側の純白な部分との対比が誠に鮮やかだった。
上向きの花の内側を少しでも覗けるように、緑道の脇の巨石に登ってカメラを構えた。足元の覚束ない爺の姿を、虚庵夫人は心配そうに見つめて、「気を付けてね」と何度も声を掛けていた。

 この「遊歩道」は、車が走れない程の狭いレンガ舗装の道で、左右に2メートル程の緑地があるので、住民はそれぞれお気に入りの花木を植えて楽しんでいる。 緑地の奥は巨石を組み合わせた石垣で、花木の植込みと合せて趣きもあるので、市民の息抜きに人気のそぞろ歩きの遊歩道だ。




 
           わぎもこと連れ立ちそぞろ散歩かな

           何時しかなりぬ老いの日課に


           「うつろ庵」を出でて間もなく木蓮の

           歓待うけぬ聲はなけれど


           咲き初めし若紫の花びらの

           内の純白 気品を湛えて


           白妙は裡衣ならんや気品ある

           若紫の衣に映えるは


           木蓮の花咲く内側白妙の

           衣を写さむ岩に登りて


           頼りなき足元案じて「気を付けて」

           わぎもこの聲 遠くに聞くかな