ブラインドサッカーに出会った17歳の華と六花の冒険へ、ようこそ!
満を持して、本作『風に乗って、跳べ 太陽ときみの声』(川端裕人 朝日学生新聞社 装画ゆの ブックデザイン横山千里)をお届けします。
2006年、つまり、ドイツワールドカップの年に、少年サッカー小説『銀河のワールドカップ』(集英社文庫)を上梓して以来の「宿題」をやっと提出できました。
というのも、「銀河のワールドカップ」のためにブラインドサッカーの取材をし、実際に作中では鍵となるような場面で「活用」できたと思いつつも、まだ、かなり「積み残してしまった」という気持ちが強かったからです。つまりは、ブラインドサッカーには、そのものとして、お話にするべきことが詰まっている、と感じられてならず、いつか実現しようと願ってきたわけです。自分にプレッシャーを書けるべく、「銀河のワールドカップ・サイドB」をいずれ書くとも言い続けてきました。
そして、実現しました。
本作品は、ブラインドサッカーを舞台にした「もう一つの銀河のワールドカップ」だと言い切ってしまいましょう。実際、作中の2人の主人公、華と六花が所属するクラブチームは、「ダンデライオンみらい」で、クライマックスで結成される即席チームは「プレデター・ユナイテッド」です。そして、チーム名だけでなく、実際に「銀河へキックオフ!!」しちゃう勢いです(ここだけアニメのタイトルですが、事実、そんなかんじなんです)。
と、まったくもって、自己都合的な感慨を語りましたが、それだけの手応えを感じていると強調しておきます。
その上で、紹介らしい紹介をしておきますと──
以下、版元の朝日学生新聞社のプレスリリースより。
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「……わたしの声が、必要とされてる?」
ブラインドサッカーで世界を目指す17歳の女子高生の物語
主人公は、生徒会を辞めてぽっかりと時間ができてしまった高2の華。目標を見失っていた時に、幼なじみの六花と偶然再会し、六花が打ち込む「ブラインドサッカー」に出会う。
まるで目隠しなどしていないかのような華麗なドリブルや、競技の迫力にすっかり魅せられた華は、気づけば声で選手をサポートする「ガイド」を引き受けていた──。
六花と再会して新たに動き出した華の日々や、ブラインドサッカーで世界を目指す挑戦の日々と友情を描く青春小説。
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とのことです。
まさにそういう話です。
実は、「太陽ときみの声」はこれが3冊めであり、3部作の最終回でもあります。
しかし、主人公もストーリーも別なので、まずは本作から入っていただいて正解だと思う次第です。
エンジョイ!
そして、これを書けためぐり合わせ、ブラインドサッカーと、そのファミリーについて語ってくれたり、感情や行動で示してくれた方々に、感謝します。