ロスマンの疫学―科学的思考への誘い 価格:¥ 2,625(税込) 発売日:2013-10-19 |
「ロスマンの疫学」は、現代疫学の教科書の定番を書いているロスマンによる入門書。
2004年に第一版が訳されてから、9年後の第二版です。
ぼくは、疫学大事だよーと言ってきたけれど、社会の一大事において放射線疫学と最初に出会い、なにかあやしげで、信用ならないもの、みたいに感じた人が多いかもしれないと感じている今日この頃です。つまり、我々の社会(のかなりの人)が、疫学と「不幸な出会い」をしてしまったのかもしれないと。残念なことです。
でも、「放射線疫学」けしからんと思っている人でも、たとえば、因果推論というのがどのように行われるのかというのを知っておくのは大事だと日々、ますます感じており、この第二版を推します。
因果推論を実用の学として、日常レベルの水準で行いうる方法論って、結局疫学になるんですよ。
それだけパワフルな道具なのです。
「あれか、これか」「シロかクロか」の問題ではなく、寄与割合を考え、程度を考え、分布を考え、頻度を考え、ほかにも関係していそうな要素(交絡要因)を見抜き、データの取り方の偏りなど(バイアス)をうまくさっ引く方法を考えたり、さっぴけなくても、それが結果にどれだけの影響を及ぼすか評価したり……という思考の仕方。
パワフルなだけでなく、その限界もあぶり出す方法。
そして、その限界といとうのは、因果推論において人間が感知しうる限界を示すことでもあり、そういう意味でも、やっぱり、重要なジャンルなんです。