川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

今更ながら、理論としての「ゲーム脳」の問題点を指摘すると……

2006-02-20 20:54:52 | トンデモな人やコト
 本当に今更だ。でも、自分なりの整理があってもいいかなと思い、書き留めておく。メモなので、乱筆ご容赦(って、いつもだが)。
 自分の学会の会報に発表された森論考(論文とは書かないことにする)を見る限り、「ゲーム脳」理論は、三つのパートからなる。つまり、本来、最低三つにわけて、別々に論証しなければならないことがごっちゃになっている。

(1)新しい機器であるブレイモニタを実験に使うことの妥当性。
(2)(1)が妥当であるとして、得られたデータから、「ゲームをしている子は、ゲーム脳と呼ばれる状態になっていること(前頭前野にダメージを受けている)」を導くこと。
(3)(2)が示されたとして、「ゲーム脳」の子は、キレやすく、凶悪犯罪を引き起こしがちであることを示すこと。

このうち、(1)はとても分かりやすい「つっこみどころ」。古くは斎藤環氏、最近ではサンデー毎日の記事で久保田競氏の批判もある。

(3)については、ぼくが知る限り明言した人はないけれど、これもはっきり言える部分。「ゲーム脳の子がキレる、凶悪犯罪に走る」ということを論証するための方法は、「疫学」しかない。そして、森氏はそれをせずに、印象論で片づけている。やるべき研究をやっていないのだから、「ダメ」と明確に言える。

問題は(2)。
ゲームに費やす時間が長いと「アルファ波優位」になるなら、これが前頭前野の「細胞の脱落」であるとか、物理的ダメージを受けたと言えるのか。もちろん、素人としても、「単にゲームに慣れている人の方が操作に慣れているからだろう」というくらいのことは言えるのだが、森氏がごちゃごちゃとそれらしいことを「論考」でも、著書でも、 「データらしきもの」を出した上で述べているがゆえにややこしくなる。素人が「それは嘘です」と言ったとしても、「ほかの素人」「さらなる素人」には通じにくい。この部分についてこそ、専門の研究者のつっこみが必要な部分。
目下、我々素人分析ではなく、脳科学の専門領域からの反論(?)としては、"Regional glucose metabolic changes after learning a complex visuospatial/motor task: a positron emission tomographic study."(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=1617405&dopt=Abstract)という先行研究があると指摘できるのみ、か。
Brain research(査読付き)に掲載されたこの論文によれば、被験者たちはテトリスを4週間から8週間毎日プレイし、その間の脳波の変化をモニタすると、「慣れれば慣れるほど、脳の活動は低くなる」という結果を得た。この時、論文の著者は、ゲームによって脳が破壊されたとは結論せず、単に習熟によって、脳をフル稼働せずに済むようになった、と解釈している。森氏だったら、ここでいきなり「ゲーム脳だ」と言ったに違いない。

そんなこんな。


久々に走ってみるが……

2006-02-20 06:36:00 | 日々のわざ
12月にフットサルで膝を痛めてから、ずっと走っていない。
もう日常生活には支障がないし、自転車だってぐんぐん漕げる。だから、そろそろ走ってみようと思ったら大間違い。
痛い。
自転車を漕ぐときのような伸ばしたり縮めたりする動きはともかく、「ねじり」に弱い。走るときって、意外にねじっているのだなと知る。特に地面を蹴る時とか。
当分まともにスポーツできないなあ。
プールで上半身だけで泳いだりしてこよう。