この本「憲法をまなぶ」は、1981年5月3日に発行されたものです。
30数年の時が過ぎていますが、状況は現代に通じるものがあります。
はしがきを2013年に変えて書けば
「日本国憲法は、自由と平等と平和を愛する国民に支えられ、これを抹殺しようとする根強い改憲論に抗して生え抜き、施行されてから66年を迎えました。・・・・・
しかし、この憲法をめぐる政治環境はますます厳しい。とりわけ、2012年12月の総選挙で自民党が6割の議席を得てからは、その党是とする改憲論がかつてない高い調子で叫ばれています。
わたしたちは、自由で平和な憲法政治を生むために命を賭けた人びとに報い、そして憲法による幸福を同時代人と子孫に伝えるために、事態を見逃すわけにはいかない。・・・・・
幸福はすべて、近代日本史が初めて経験した、66年という長い無戦争・平和時代のおかげである。戦争という途方もなく莫大な国費の浪費がなかったからこそ世界に知られた平和と繁栄がもたされたものである。だが、それにもかかわらず、いま、かつてない激しさで、その憲法を、その民主主義や平和主義を、変造しようとする政治が進められているのである。
日本社会党中央本部機関紙局発行:社会新書として発行されました。
<著者の略歴>
小林孝輔(こばやし たかすけ、1922年―2004年11月19日)は、憲法学者、青山学院大学名誉教授。 東京市生まれ。兵役をへて1950年早稲田大学法学部卒、大学院。51年青山学院大学講師、助教授、教授、91年定年退任、名誉教授、92年札幌大学教授、96年退職。国士舘大学客員教授。81年「近代ドイツ国法思想の史的研究」で早大法学博士。 78‐88年日本学術会議会員。
「憲法がわたしたちにとってどれほどの意味があるかは、わたしたちがみずからの自由と平等にどれほどの情熱をもつかで決まるといわなければならない。(本文より)