( 錨草・碇草・いかりさう )
葉と花と別れて細し碇草 阿部みどり女
錨草炭篭の辺に花了る 金子星零子
碇草生れかはりて星になれ 鷹羽狩行
うつむくは負けの姿よ錨草 檜 紀代
群雀(中国原産・マメ科)
独り言
昔書いた比喩の話をもう一度
物事を説明するとき、相手のよく知っている物事を借りてきて、それになぞらえて
表現すること。その方法により、直喩・隠喩・換喩・提喩・諷喩などがある。
直喩 「たとえば」「ごとし」「ようだ」
暗喩 言葉の上では,たとえの形式をとらない比喩。「雪の肌」
(隠喩) 「ばらのほほえみ」の類。メタファー。
換喩 言い表そうとする事物を、それと関係の深いもので表現する修辞法。
「金バッジ」で国会議員を表すなど。
堤喩 「太閤」で「豊太閤」(豊臣秀吉)、「山(やま)」で「比叡山」を
「小町」で「美人」、「花」で「桜」の意を表す
諷諭 たとえによって本義をそれとなく表現したり推察させたりする修辞法。
「朱に交われば赤くなる」で「人は交わる友によって感化される」
の意を表す類。
比喩句の難しさは,最近特に感じている。
初学のころは、何でも「如し」「如く」だった。
誰でも感じて数多く詠まれているものに「如く」と言っても「そんなことは知ってる」
になる。例えば木蓮などは「子供の掌」「手」「指先」、三日月などは「刃物」
これを直喩で詠っているうちはいいのだが。
掲示の比喩法の内、換喩,諷喩は俳句にはむかない。換喩は独り善がりの解釈が
あり、諷喩は種明かし俳句となる。
辞典などでは、暗喩と隠喩は同意語になっているが、少し違いがある。
暗喩は掲示の通りの意味あいがあり、隠喩には例の「雪の肌」から一歩踏み込んだ
表現と解釈がる。これを言葉で説明するのは難しい。