子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

ウイルス性胃腸炎

2010-12-15 18:27:55 | 雑記
11月からノロウイルスが原因と思われるウイルス性胃腸炎の流行が続いています。

「ウイルス性胃腸炎」「嘔吐下痢症」「おなかの風邪」などいろいろな言い方をされますが、原因ウイルスがノロ以外(ロタウイルスなど)のことはあると思いますが、同じ状態のことと思ってもよいと思います。

突然の吐き気・嘔吐症状から始まることが多く、
発症から半日~1日程度吐き気・嘔吐で辛いかもしれませんが、
その時期を乗り切れば自然と症状は軽快してくるのが一般的な経過です。
夜中に吐き始めたら、翌日昼ぐらいには嘔吐は落ち着いてくることが多いと思います。

吐き気・嘔吐以外に、下痢や発熱といった症状を伴う場合もありますが、
ウイルス性胃腸炎自体を治す薬はありませんので、
ウイルス性胃腸炎自体が自然に治まるまでの間、吐き気止めや解熱剤などで症状を軽減して様子をみることになります。
下痢は多少続いても、嘔吐が治まり飲んだり食べたりできるような状態なら様子をみてもよい場合がほとんどです(下痢止めは使う必要はなく、胃腸炎自体が治まれば自然に下痢も治まります)。

脱水などにならないよう、少しづつでよいので水分や塩分が補給できれば、あとは時間の問題です。

症状が軽ければ、自宅でゆっくり休養して様子をみることもできると思います。

ただ、ぐったり元気がないなど心配な時は医療機関に受診をして状態を確認する必要があります。

吐き気の強い時は、ひと口ふた口程度の水分から始めて、様子をみながら少しずつ水分を根気よくあげる必要があります。吐いてしまっても、時間をおいてまた試して、吐かなければ少しずつ量を増やしてあげて下さい。

最初は、水やお茶、イオン飲料などでよいと思いますが、経過が長くなるようなら塩分補給のため塩気のあるもの(みそ汁やコンソメスープなど)も少量でよいのであげるようにして下さい。水分をある程度飲んでも吐かなくなり、食欲がでてきたら炭水化物(ご飯など)から量を加減しながら始め、状態をみながら量や内容を元にもどしていきます。吐き気が治まってくれば、油っぽいものや刺激物などよほど不適切なものでなければ、内容的に極端な制限は必要ありません。
母乳のお子さんは母乳だけでもよいと思います。

飲んだり食べたりが刺激になり、下痢の回数が多くなる場合もありますが、下痢を理由に極端に飲んだり食べたりの制限は必要ありません。

個々の患者さんごと状態はことなるので、すべてを説明はできませんが、参考にしみてください。

あとは、感染力は強いので、吐いたものや下痢の始末をしっかり行い、手洗いをこまめに心がけてください。また、ドアの取手や水道のじゃ口などの拭き掃除なども心がけてください。