デジカメぶらりぶらり

デジカメのほやほやの写真をご覧下さい。

チェチェン

2013-05-01 06:52:27 | Weblog
青い空に白い雲の線を引きながら飛んでいく飛行機は、爽快だ。見つめていると、こちらの心まで青空に吸い込まれそうだ。だが世界には、機影を見ただけで震える子どもたちがいる。

ロシア南部のチェチェンにも、そんな子どもたちが大勢いる。1994年から断続的に続いた戦争が終わったのは、4年前。かの地で飛行機とは、空から爆弾を降らすものだ。

十数年前に難民収容所で会った医師アタエワさんが、嘆いていた。「うちの孫も前は飛行機が大好きだったのに、今は音を聞いただけで震える。絶えずおびえ、キョロキョロしてばかりだ」。

アタエワさんの少女時代も過酷だった。チェチェン人は、スターリンの手で民族ごとく強制移住させられた。10才のころ、彼女は強烈な爆風を浴びたことがある。

それが核爆発の風だと知ったのは、ずっと後のこと。一家の移住先は、ソ連の核実験場の近くだった。そんな時代を生き抜いたアタエワさんは難民収容所の診察室で静かに、同胞たちの痛みや苦しみと向き合っていた。

怒りをかみ殺し、背筋を伸ばし、目の前の命を救おうとしている。ボストンの爆弾テロ犯とされる兄弟は、チェチェン難民の家に生まれたという。なぜテロに走ったかは不明だ。

ただ本当に民族の苦難の歩みを理解していたら、問答無用の暴力で人々の命を奪うようなことは、できなかっただろう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿