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恋文

2013-08-29 08:04:01 | Weblog
終戦から3ヵ月たった1945年の11月18日、36歳の青山フユさんは日記に書いた。<疎開の荷物を運び出す・・・彼を待つ準備もうれしい>。

しかし、その3日後、夫の戦死が知らされる。11月30日の日記は、こうしたためられた。<雨降る。終日家に立てこもり、彼との生活をなす。思えば涙のみ溢れひとしお耐えがたし>。

フユさんの手元には夫の泉さんがフィリピン戦線から送り続けた約140通の手紙が残った。その手紙とフユさんの日記の一部を収めた『戦場からの恋文』を読めば、あの時代を生きた一組の夫婦の息遣いが蘇る。

出征した42年の暮れ、泉さんは手紙に書く。<内地から半分持って来たもの(愛情なんて言葉には当てはまらないほどの根強いもの)をじっと握り締めていることで、俺の毎日は幸福だと思っている。来るべき日の為にお互いをもっと強く鍛え上げようではないか>。

手紙は翌年3月に届き、フユさんは日記に<彼からの便りを繰り返し見たりして楽しく過ごす。もっともっとよりよき生活を築く夢を描いいてみる・・・そうありたくてならぬ>と書いていた。

泉さんの死は、45年9月23日。終戦後も戦闘状態が続く中、病と飢えで命を落としたという。90歳まで生きたフユさんは、戦場からの恋文の一字一句をノートに書き写し、心の支えにしたそうだ。

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