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人民のため

2013-12-09 08:05:02 | Weblog
ちょうど150年前の11月19日、演説に立ったリンカーン大統領は、言った。「私たちがここで述べていることに、世界は大して注意を払わず、記憶に長くとどめることもないであろう」。

南北戦争の激戦地ゲティズパークでの演説は、2,3分ほどのごく短いものだったが、最後の一節によって世界史に刻まれた。「人民の人民による人民のための政治を、地上から絶滅させないために・・・」。

しかし、演説の5日後に地元紙が載せた論評は痛烈だった。「我々は、大統領のばかげた発言を黙殺する。忘却のベールがこの発言を覆い隠し、繰り返されたり、思い出されたりせぬよう、国民の名誉のために望む」。

この地元紙の流れをくむ新聞が先日、歴史的酷評を訂正し撤回する記事を載せた。曰く「私たちの訂正に世界は大して注意を払わず、長く記憶にとどめることもないだろうが、良心の求めるところをなさなくてはならない」。

冗談まじりの記事ではあるが、それでも歴史の審判を重んじる姿勢はにじむ。翻って日本では、閣議の議事録すらもともに作られてこず、外交・国防の中枢・国家安全保障会議での発言が記録されるかも定かではない。

大事は忘却のベールで覆い隠そうとの姿勢だ、どうもこの国の政治家らには、あらためて復唱してもらった方がよさそうだ。「人民の人民による人民のための政治を・・・」