万博

作家の嵐山光三郎さんは、下駄の愛用者である。昨年秋、革靴を履いていたのた理由は、「下駄では飛行機に乗せてくれない」とのことだった。

大阪万博のあと、５０００年後に向けたタイムカプセルが埋められ、中に下駄があった。日本の和装文化を支える履き物の代表だった。が、わずか４０年でハイジャックの凶器になると疑われている。

生活様式の変化はかくも早い、中国の上海万博が開幕した。これまで中国４０００年の歴史と言ってきたのが、昨年の北京五輪で「中国５０００年」が定着してしまった。

５０００年という時間感覚はどこの国でも文化継続の最長基準と思われているのだろうか。日本人の下駄姿は昭和初期まで醜い西洋漫画の対象だった。下駄は野蛮で非近代的。

靴はスマートで現代的。文明の基準で言えばそんな見方だったのだろう。「人類の進歩と調和」を歌った大阪万博から既に４０年。

上海万博は、「より良い都市、より良い生活」がテーマである。５０００年後を夢見るのも楽しい。