「秋分の日」。これから、しのぎやすくなる。毎日、近くの山を描き続けた画家がいる。正月も猛暑のころも出掛けるのだが、描いた絵はどれも山肌は緑に包まれ、青空に雲が浮かんでいる。
紅葉や冬枯れの山に向かって描いても、緑の山である。画家の目は不思議だと思った。目の前の山をそっくり写すわけではないから、山の色が違ってもかまわない。
心に刻んだ色を、カンバスの上に生み出している。そうと分っていても、つい「いつの季節の山ですか」と、尋ねてみた。
おかしなことを聞く、という顔をされたが、「秋がいいかな。暑さ寒さも彼我までというだろう」と応じてくれた。
彼岸は、気候の変わり目を指すだけではない。暑さ、寒さのつらさや苦しさに耐えた心が和らぐときでもある。
彼岸のころ、山も見事に晴れやかな姿になる。それを描きたいはずだ。
紅葉や冬枯れの山に向かって描いても、緑の山である。画家の目は不思議だと思った。目の前の山をそっくり写すわけではないから、山の色が違ってもかまわない。
心に刻んだ色を、カンバスの上に生み出している。そうと分っていても、つい「いつの季節の山ですか」と、尋ねてみた。
おかしなことを聞く、という顔をされたが、「秋がいいかな。暑さ寒さも彼我までというだろう」と応じてくれた。
彼岸は、気候の変わり目を指すだけではない。暑さ、寒さのつらさや苦しさに耐えた心が和らぐときでもある。
彼岸のころ、山も見事に晴れやかな姿になる。それを描きたいはずだ。