こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

音盤日誌:Dシルヴィアン&坂本龍一「バンブー・ミュージック」1982年

2020-11-07 23:00:00 | 音楽帳


病人の脳のリハビリを兼ねて、秋の音楽帳、が続く。
子供のとき、帰って学習帳を付けていたみたいに。

YMOが休止状態で三人三様となった1982年は、各々のソロ活動が精力的ですさまじかった。
彼らに限らず、1982年の音楽は花盛りだった。この秋、坂本龍一は相思相愛のデヴィッド・シルヴィアンと、初めて2人名義で作品を発表する。
7月30日にイギリスで両A面として発表されたシングル「バンブー・ミュージック/バンブー・ハウシィズ」。国内では9月5日発売された秋の名曲。夕暮れ時間が早くなり、赤味差す西陽や、公園の森や竹林を見ては、脳裏によくこの曲が流れる。2つの曲両方とも素晴らしく、脳裏でたまらない気持ちになる。

***

この頃、坂本龍一は映画「戦メリ」のために、完全に音楽の現場から約一か月半離れている。
1982年8月21日にラロトンガ島に旅立ち、10月5日東京に帰国している。
当時のカセットテープにインデックスが無いので日付があやふやだが、そんなさなかの1982年秋ピーターとアッコちゃんの「スタジオテクノポリス27」に、来日したデヴィッド・シルヴィアンとスティーヴ・ジャンセンがゲスト出演している。

この段階ではジャパンの解散はほぼ決定していたが、そのツアー絡みの来日だったか?
坂本龍一・矢野顕子邸に宿泊し、幼い坂本美雨がスティーヴ・ジャンスンに恋してしまったのも、このときだったか?



シングル「バンブー・ミュージック/バンブー・ハウシィズ」録音には、現場にピーターも同席しており、「ジェネティック」というロンドンから車で1時間半くらいの所にある静かなスタジオで録音されたという。
「どうして両方とも曲名がバンブー?」と訊くピーターに、デヴィッドは「歌詞が創れなかったから」と冗談交じりに答えた。しかし、あえて両方ともバンブーとしたのだろう。竹というモチーフに対して、2つの違う角度や描き方でアプローチしている。

***

坂本龍一が前年 清水靖晃と即興で作った「ドールプレイ・パート1」「パート2」の手法と同じように思う。片方はメロディが主、もう片方は即興性が強い(が教授のことだから、どちらもバランスが整っている。)実は「バンブー・ミュージック」にプロモーションビデオがあり、起承転結型の出来なので、こちらがA面だったのだろう。そう思ってしまうと、素材を教授らしいダブ的処理したものが「バンブー・ハウシィズ」に見えてくる。

また、クレジット上は2人の共作だが、スティーヴ・ジャンセンがドラムで参加している。リンのドラムを手動モードで叩いている。これはビデオの演奏姿にも反映しており、2人のプロフィット5に挟まれ、スティーヴはタイプライターを叩いている。番組「スタジオテクノポリス27」では、「あえて手動で演奏したものの、ライブのときは演奏姿が滑稽だからどうしようか?」とスティーヴは言っていた。ジャパンの2人にとっては「ブリキの太鼓」で描いたアジアオリエンタリズムを、さらに進めた延長線上の音となっている。この曲は、この1982年末のジャパン解散コンサートでもアッコちゃんをゲストヴォーカルに迎えて歌われた。


■DAVID SYLVIAN&RYUICHI SAKAMOTO「BAMBOO MUSIC」'82■


■DAVID SYLVIAN&RYUICHI SAKAMOTO「BAMBOO HOUSES」'82■

DAVID SYLVIAN : keyboards, keyboard programming, vocals
坂本龍一 : keyboards, keyboard programming, mc4, marimba, vocals
STEVE JANSEN : percussion, electronic percussion, keyboards

PRODUCED BY SYLVIAN・坂本・NYE
MIXED BY NYE・SYLVIAN
ENGINEERED BY NYE
SONGS COMPOSED AND ARRANGED BY SYLVIAN・坂本
SLEEVE DESIGN AND LAYOUT : SYLVIAN

「バンブー・ミュージック」のミュージックビデオは、「サウンド・スーパーシティ」(テレビ埼玉)という毎日夕方放送していた番組で見た。この番組は、イギリスの最新音楽ビデオを唯一見せてくれる番組だった。クラブの練習もあるし、ビデオデッキも持っていなかったため、帰れる日は必死こいてかえって、この番組を見る。そんな貴重な番組だった。

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