こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

音盤日誌:スケッチ・ショー 「フレイクス」2003年

2020-10-28 21:00:00 | 音楽帳
21世紀に入って間もない頃。
なんか最近つまらない、制約なく遊びたい、と幸宏に言われた細野さん。
じゃあ、なんかやる?と返した細野さんの顔と声、、、が浮かぶ。
それまでのこだわりを捨てて取り組んだ、2002年始まったユニット「スケッチ・ショー」。

石野卓球主催の「WIRE」というフェスティバルには、新人バンドとして出演した。
いくらギャグや自虐としてでも、YMOチルドレンから化石的老人扱いを半ば受ける姿に頷けず、こぶしを握って許せない心を鎮めた。
初めてこの企画を知ったとき、「スケッチ・ショー」というユニット名にも幸宏のおでこがあらわなアルバムのジャケットにも、さまざましっくりこなくて、なぜこんなことに2人が進んでいくのか?腑に落ちなかった。
この時点では、YMOが次の一手を踏み出した、感覚は無かった。

ただ、デビューアルバム(?)「オーディオ・スポンジ」の最後に入った「夏の日の恋」のカバーが、それまで働き詰めで疲れ切った2人のバカンス、リハビリテーションとして、本当にくつろぎ切っていることは伝わってきた。
この大いなる休息を得て、次の一手へと行ってくれれば・・・。
ファンというのはむごい。どれだけ素晴らしい音楽に数十年恩恵を受けながらも、彼らが常に輝いていないと満足せず、もっともっとさらに新しい何かを創って欲しい、とばかり願っている。それが出来る師だから。。。と。



こうして”21世紀のYMO”への足掛かりは、がっかりした「リ」スタートと思われるだろうが、そうではない。じぶんは次第にそこに引き込まれていく。
働き者のお二人のことだから、お遊びとしてスタートしたはずも、エンジンがかかるととんでもない爆発を起こした。「オーディオ・スポンジ」に続いて、名曲「Ekot」が入ったミニアルバム「トロニカ」、2003年フルアルバム「ループホール」と、すっかりお遊びはどこかに行ってしまい、一気に本気モードに入っていく。

この頃(2004年12月18日)、体育館みたいな狭い場所(恵比寿ガーデンプレイス)でオールスタンディングのライヴがあり、先生たちを身近に見られる、と心ざわつき聴きに行った。

しかし、行ったは良いが、いっこうに2人は出てこない。
アオキタカマサさんに始まり、半野喜弘さん、クラムボンの原田郁子さん、、、各々素晴らしい演奏だったが、2時間以上たちっぱなしで、その前座 段階ですっかり疲労困憊してしまった。

トイレ休憩を経て、そこにやっと出てきた細野さんと幸宏。
あいも変わらず生真面目で神経質な構成だったが、なんだか2人とも自由で演奏を楽しんでいる雰囲気が伝わってきた。とにかく楽しい時間を味わえた。(ここで新しいアレンジの「Cue」を聴いたような気がする。)
途中、細野さんのお孫さんなのか?狭い会場内で担がれた小さい子が「細野おじいちゃーん」と近い舞台に声援を送り、細野さんがずっこけるシーンもあり、笑いながら新しい「何かの始まり」の渦中にいることに興奮していた。
じぶんがYMOを聴いていた中学・高校時代、彼らのライブを1回も見ることができなかった。それがいっそう興奮させる一因でもあった。あの細野さんを大きな声で呼んだ小さい子は、今頃どうなっただろうか?かつてYMOチルドレンだった少年はふと思う。


(ライヴDVDのスリーヴより)

アルバム「ループホール」に収録された名曲「フレイクス」。
この曲にプロモーションビデオが存在するのを知ったのは、当時のYoutubeのおかげだった。
鬱蒼とした森で撮られており、全体の色調の暗さ、2人の顔に付いた陰影は、実に晩秋的。

「Flakes」とは、かけらといった意味がある。例えば舞い散る秋の枯葉のようなもの。もう1つに、変人や狂人といった意味合いがあるそうだ。このWミーニングはビデオの映像にも反映している。途中ふざけた歩き方をする2人だが、その一方で、時折不意に見せてしまう険しい表情。その表情が心に染み入る。

この曲を聴きながら、カメラを持って歩きたい。
そう思い、全身を痛み、びっこ引きながら、秋の道に出て行った。


■SKETCH SHOW 「FLAKES」'03■

木の葉舞う道
男は何処に向かう

和と洋・・・
静寂と激しさが織りなす

ここは天国か
はたまた地獄か





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