
この1.2か月、偶然出会ったパラディの「トワ・エ・モア」(2016年)という曲を繰り返し聴いていた。フランス語特有のボソッと語りかけるようなセリフとうねるグルーヴ感、そして、そこに絡むメロディアスなシンセ音。PVではミラーボールが回るが、フランス語の憂鬱なヴォーカルは、クラブなどとは無縁の孤独感を漂わせている。
2人のデュオ、というと、ついショーナ・ダンシングと似た感触として思い出したりもしたが、3分半程度で終わっていくこの曲は、まさにシングル盤の鏡。必要以上の要素を入れず、簡潔に終わって行く。その分、終わってしまった後の余韻を強く感じる。そこでついつい繰り返し聴きたくなる。
トワ・エ・モワ(Toi Et Moi)とは「あなたと私」を意味する。
孤独感とロマンティシズムを感じる1曲。個人的には2020年出会った曲・トップ10に入るものである。
■Paradis 「Toi Et Moi 」'16■
音楽ジャンルを分類する用語に「シンセポップ」「エレポップ」という呼称を最近よく見るようになった。それらが初めて奏でられた80年代初頭と、スタイルが出尽くした現代では時代状況が全然違う、、、と思うのだが、パラディの音楽を単純に区分するなら、こういった部類だろう。
「トワ・エ・モア」は、2016年のアルバム「レクト・ヴェルソ」に収録された曲。
アルバムは、ジャケットデザインはイメージと違うが、音はシンプルで、曲の構成もわかりやすいものが多く収録されている。
ついヤズーや初期のデペッシュモードがよぎる瞬間もあったりして興味深い。