シリーズ化し出した3本目のカセットテープ。
‘81のマイ・ベスト・コレクションとあるが、「マイ」がセレクトしたものではない。
また、ニューウェイヴと言える軌道上の音はA面1、2曲目だけという代物。でも未だ好きな曲ばかりのカセットテープ。
この年出会ったほとんどのニューウェイヴは入っておらず、日本版洋楽ヒットチャート的な曲が多く収まっている。
「BGM」「左うでの夢」「ロマン神経症」「テクノデリック」も「出口主義」もここには無い。濃厚な圧度はここにはない。
受験が終わり春が見え出す翌年2月終わり頃まで聴いていたんだろう。
12月にこの年の音楽を振り返る番組が「軽音楽をあなたに」で放送され、エアチェックしながら好きな曲だけを残した。
1年間の音楽を総括しているか?
といえば、そうもなっていなくて、秋から冬に現れた曲が中心である。
結局のところ「‘81 MY BEST COLLECTION」とは、ただそう書きたかっただけなのだ。
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のちにドラマ「電車男」のテーマ曲になったELOの「トワイライト」は、夜が迫り来る真っ赤な夕暮れ時によく聴いた。
アース・ウインド&ファイアーの曲は、受験に落ちて呆然とした中、日吉駅にある喫茶店で掛かっていた苦い時を思い出す。
好きでもない同級生らとお茶を飲まざるをえない時、制服姿でお互い居ながら、フロアで掛かるBGMが「レッツ・グルーヴ」だった。(有線放送でも、FM放送でもない)
この日以来、日吉には行っていない。
街の佇まい次第だが、基本東京二三区の東側で好きな場所は少ない。地方から出てくる女性は必ずと言っていいほど、このエリアに住もうとする者が身近に多い。
今ではもうどうでもいいことだが、日吉は日比谷線から乗り入れの終点駅で、地下鉄に恋していた小学生時代・その行ったことも無い駅名刻印がされたキップを大事に箱に入れていた。それ以外は、想い入れのカケラもない。
今年、目黒区に迷い込んでしまい、あてもなく歩いた日があったが、その街を好きになることはなかった。
■Sheena Easton 「For Your Eyes Only」1981■
シーナ・イーストンは「モダン・ガール」で登場して以来好きなポップスシンガーだったが、その存在の在り方はオリビア・ニュートン・ジョンの後継者だった。洋楽という日本的くくりの中でもなじみやすくヒットし、日本の『歌謡祭』にも招かれた。
「ユア・アイズ・オンリー」は映画「007」の主題歌。
「モダン・ガール」「9To5(モーニング・トレイン)」とヒットした後の一曲。それまで明るい曲調が続く中、初めて彼女のかげりあるスローでメロウな曲として聴いた。
彼女の曲の中で一番好きなものかもしれない。吸い込まれるような音に安息を覚えていた。