こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

2015年5月30日 土曜日  「初夏のサウンド・10 とある先人との出会い」

2015-05-30 04:00:33 | 音楽帳

とある先人と話していた。先人の語り口に導かれる。
「役所的」「公務員的」という言葉。悪く言われることが多いが、例えば役所に手続きをしにいく。
詳しくない者でも①→②→③→・・という段階に従っていくと、手続きを終えることが出来る。

あるいは過去・日本の先人たちが作ったJIS規格。
このルールに従って行くと、お互いがちゃんと組み合わさって品質を満たすモノが出来上がる。ISOはせっかく作り上げたJISルールを壊すもので、国際化とは体の良い言い方だが、目的は品質の悪いモノを参入させるための手続き破壊。これによってモノ作りはガタガタになってしまった。

ルールを馬鹿にする、破壊・革新という物にヒトは夢中になるし、僕自身もそうなることは多かった。
肯定と否定みたいに何事も二項対立に構図が行きがちだが、そんな目くらましにあって視えなくなってしまう色メガネを外して、それを俯瞰できる丘に立ちたいもの。しかし、その余裕がないから二項対立に巻き込まれてしまう。

昨年から今年に掛けて仕事上の法律を作る中、毎週先人との対談を通じてたくさん示唆に富んだ話しを聞くことが出来た。目からウロコが落ちるとはこのことで、奇妙な思想に洗脳されて視えなくなってしまった視線に気付かされた。

僕は仕事上の法律を「作らされる」強要から、自発的に作るほうに心境が変わる。
そして、チェックされるために毎週この先人に会うことが楽しみになっていった。
ウィットに富む語り口に「では、これについてはどうお考えですか?」と仕事もそれ以外も含めて投げかけ、返ってくる答えに教えられる。

そんな片方では「最近、ネット販売で自撮り棒買ったんだけど」とこのメーカー品はどうこう・・・と笑わされる。過去からの広いモノ作りのフィールドを知った上で、いつも子供のような好奇心を持っている先人には敵わない。多様な話しをしながら、モチベーションという欺瞞語じゃない形でそれぞれの自発性を促しつつ、思うような方向にその者の行動を導いていく。
こういった人こそが上に立って指導すれば良いのだが、筋肉馬鹿やナチスが現実に成功させたワンフレーズ洗脳を真似した者が、チカラのみの世界に染め成していく。教えてもらったこの先人も、その濁流の下追いやられる結果となった。

懇意に話せる関係でもなく、真意を計り兼ねてウワサ話から怖がり距離を置いてきたので、貴重な経験だった。
何も今になって・・・という想いもあり複雑だったが、先人は自分が去る前に、と伝えるためにこうして自分に話してくれている、その裏の意味も分かっていた。

ルールには良い面と補正して変えていくべき面がある。
しかし良いルールは破壊せず永遠に大事に。
先人はそう直接的には言わなかったが、実際はそう言っていた。

深夜、地震があり暗闇で起こされる。
すぐラジオを付け、周波数をNHKラジオに合わせる。
各地の震度と詳細を告げている。


■ララージ&ブライアン・イーノ 「メディテーション ナンバー1」1980■

起きたら眠れなくなり、深夜これを聴いていた。
1983年夏・イーノがラフォーレミュージアム赤坂におけるインスタレーション展で来日したことを想い出す。展覧会場にはうっすらした灯り。その暗がりの中、広い場にタテ置きされたテレビ画面から発光する画面。テレビモニターは離れたあちこちに配置されている。

それぞれの場所に行くと、マンハッタンの建物とその上の空がゆっくり流れていく様。日光が差した場所をひたすら映した画面。あるいは超スローモーションで変わっていく女性の表情。
1つ1つ置かれたテレビ画面は、1つ1つの絵画になっており、各地点にイーノのアンビエントが静かに流れる。

空間を歩いていくと、地点によって鳴る音は変化していく。僕と友人は歩いては止まり、そこに座って佇み、ゆっくりと変化していく音と映像の中に漂っていた。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする