ヒューマン・リーグについて、ウィキペディアで調べるとこうある。
「1977年にフィル・オーキーを中心に結成。ニューウェーブのブームの中、シンセサイザーとシーケンサーによるテクノポップのユニットとして活動する。幾度かのバンド名の変遷を経てヒューマン・リーグの名で1979年にデビュー。翌年にグループが分裂し、一方はヘブン17を結成した。
1981年にリリースした「愛の残り火(Don't You Want Me)」はイギリスで大ヒットを記録し、翌年にはアメリカでもナンバーワンヒットを記録。鮮烈なミュージックビデオによるプロモーション戦略によって、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの先駆け的存在となる。また作曲者でもあったオーキーが楽器を弾けなかったという事実は、コンピューターを使った新世代の音楽クリエーターが登場したという驚きを与えた。
1986年には当時ジャネット・ジャクソンで成功を収めたジャム&ルイスをプロデューサーに迎えた「ヒューマン」が再び全米1位の大ヒットを記録するが、その後はこれといったヒットがなく1989年にグループは活動を停止した。1995年に一時復活し、現在は懐メロコンサートなどで演奏を行っている。」
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この「懐メロコンサート」というのが、余りに悲し過ぎる言い方だ。
明らかに、エレクトロニック・ポップ/ニュー・ウェイヴを拡大した事件は、「愛の残り火」の全英&全米、両方、No.1という事件だった。
これが、きっかけにして、エレクトロニック・ポップ/ニュー・ウェイヴが、アメリカ並びに世界に広がったのは事実である。
他にも、いろんな優れたバンドがイギリスには居たが、なぜヒューマン・リーグがきっかけだったのか?
それは、特定する理由はないし、歴史の中の偶然とも言える。
久々に、ヒューマン・リーグの「Dare!」(1981)の数曲を聴いた。
初めて聴いたのは、冬のクロスオーバーイレブンでの「ラブ・アクション」だった。それはまだ、ヒットする前の段階で、イギリスしかアルバムが発売されていなかった頃だ。
自分の中に、新しい音楽を知った開放感が生まれた瞬間だった。
いま振り返れば、ある意味で、マイナー好きにもメジャー好きにも受け入れられうる新しい音だった気はする。
A1 Things That Dreams Are Made of 4:14
A2 Open Your Heart 3:53
A3 The Sound of the Crowd 3:56
A4 Darkness 3:56
A5 Do or Die 5:23
B1 Get Carter 1:02
B2 I Am the Law 4:14
B3 Seconds 4:58
B4 Love Action (I Believe in Love) 4:58
B5 Don't You Want Me 3:56
個人的には、「Dare!」の後に、シングルとして発売された「ミラーマン」が成功のノリと勢いを背負いながらも、軽い気分でメロディアスな曲で、大好きだが・・・。
「Dare!」の中でオススメなのは、「Open Your Heart」と「Love Action」でしょうか。
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フィリップ・オーキーはよくインタビューで「どうせ、いくらイイアルバムを作っても、みんな”Dare!”みたいなアルバムしか望んでいないんだ」とやさぐれていたが、そんなことはない。
少なくとも、自分は、その後もヒューマン・リーグのアルバムは何枚か聴いたし、それはそれで良かったと思っている。
ただ、ああいう夢のような出来事があっただけに、確かにそのことを越えることは無いのかもしれない。
1986年、No.1のヒットとなった「Human」も、もはや3人となってしまい、エレクトロニック・ポップがポップのフィールドに吸収されてしまったニュー・ウェイヴの終焉を奏でているようで、非常に悲しくなった想い出がある。
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ただ、単なるノスタルジーでも懐古でもなく、「Dare!」は古くなっていないし、今聴いても新鮮である。