Blog: Sato Site on the Web Side

「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

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2007年05月15日 | Weblog
エアギターに関する情報HP
でも、エアギターについて云々言う前に、ぼくとしてはエアじゃないギタープレイのパフォーマンス的魅力についてしっかり把握しておきたいものです。

夕方から、自宅にまた振付家・ダンサーの皆さんが集まってくださり、暗黒舞踏のレクチャー。最近始めたこういう小規模の、作り手の側に向けたレクチャーでは、一応教えるという立場に立ってはいるけれども、ぼくも教わるところが大いにある。ダンサーから見たダンスというものを勉強させてもらう。

気流というか、nhhmbaseという気象

2007年05月15日 | Weblog
5/13
忙しさから一抜け(ーっ)して、見に行ってきました。電車のなかでは、明日の講義の学生たちに先週書いてもらったレポートの束をチェック。何分、200枚はありますので、読むにも手に持っているにも大変で束を電車でハデにまき散らしてしまわないか(「シュパパパーッン」と宙を舞う200枚のA4紙を想像し、イヤ、どうせ飛ぶならいっそハデにいっちゃえ、などと居直りつつ)、とひやひやものでしたが、いや、ぼくは学生のレスポンスを読んで初めて講義がリラックスして出来るようになる人間なんだと、そのことを今回も痛感しました。顔(何を考えているのか)が見えない状態で話すというのが基本的にすごく苦手なんす、とくにトーク・イベントとかじゃなくてひとりの場合は。漢字の間違いがあまりに多いのには驚き(!)ましたが、でも、よいレポートも散見出来、また自分のアイディアをどのようにどこまで吸収してくれているのかというのは自分のしゃべりのフットワークそのものを形成する重要な知識で、それを提供してくれた学生諸君にはまずは感謝したい(ってレポート課題に平身低頭の非常勤講師)。
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nhhmbase presents10 「空欄に千とするコスモス」
54-71
OGRE YOU ASSHOLE
nhhmbase
開場18:00/開演18:30● 前売¥2.000/当日¥2.500● ドリンク別
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会場に向かうラブホ街で、五反田団の前田司郎氏のブログの話になる。A曰く、前田さんは毎日ある決まった喫茶店で原稿書きの仕事をしているらしいが、どうもラブホ街の近くのようだ。そうか、じゃあ東急の喫茶店?

OGRE YOU ASSHOLEは名古屋のバンド(らしい)。若くて、リアリティのある風貌と演奏を支えているのは、一定の演奏能力と80年代前半のブリティッシュ・パンクを模範にしているだろう「リフ」へのセンスだろうか。「リフ」つくるの好きだったな、中学でバンドやってたころ、とか思い出す。エコー・アンド・ザ・バニーメンとか好きだったので(本当に今となっては恥ずかしい話ですが、当時中坊だった僕は、さらに彼らをかなり意識していた日本のバンド・エコーズ(いまは小説家として知られている辻仁成がリーダーだった)が大好きでした、「リフ」という点で、です。かねてから、このロックの「リフ」とミニマル・ミュージックの反復とかを並べていつかまじめに考えてみたいなあ)。

54-71はハイハット+バス+スネアというシンプルなドラムとベースにキーボードで、キーボード担当が時折ラップを入れるというリズム隊バンド。悪くはないんだけれど、一曲目終わった時に、これをこれから40-50分続けるの?とやや飽きてしまったのは事実。骨太のアイディアはしかしシンプルで聞き応えはある。ただ、もうちょっとルアーがあるといいのではなどと思っているとAが「イリュージョニスティックなんだよ」と一撃。そうだね、シンセのノイジーな音とかがベタッと音像として時間を支配する感じは、壁紙として機能してしまい、音楽としてのスリルというか聞き手をはっとさせるところがありそうでない、演奏者の企みほどには出ていない、と思ってしまった。

今夜のnhhmbaseは、ぼくがこれまで見たなか(と言っても三回目、、、)では一番荒々しいライブとなりましたが、素晴らしい!ほんと狂気の気象というかですね、あまりに素晴らしいんで揺れている観客に交じってにやにやしていると周りもみんなにやにやしているというなんともスリリングで感動的な時間でした。そう、「気象」という言葉が浮かぶんですよね。気まぐれな天気。嵐のなかであそこだけ晴れてるじゃんみたいな。未来派の画家・ボッチョーニが印象派だったら!みたいな。激しさと静けさ、大胆さと繊細さが、一瞬一瞬で入れ替わる。パンクがもっている凶暴な快楽が、そのまま純粋培養の植物になって、それを何気なく一口しただけで「いって」しまうなんていう感じ?

それにしても、ぼくはなんてこうエピキュリアン(快楽主義者)なんでしょうか。伊藤存と狩生健志とnhhmbaseが横並びのブログなんてクレイジーだと自分でも思うけれど、こういう「あっちゃこっちゃへ移動」=横断的状況でないとダメなんすね。ダンスのみ、演劇のみ、音楽のみ、美術のみ、民俗芸能のみ、美学のみ、哲学のみ、というわけにいかない。業というかカルマというか、こまったものです、すこぶる楽しいです。